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シスコ、中小企業向けブランド「Cisco Start」に新たな製品を投入 Catalystモデルのスイッチが4万円台から

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は28日、中小企業向けブランド「Cisco Start」のラインアップに新たな製品を追加した。

 今回追加されたのは、レイヤ2スイッチ「Cisco Catalyst 2960Lシリーズ」、Gigabit Ethernet(GbE)対応の無線LANアクセスポイント「Cisco Aironet 1830/1850シリーズ」、小規模向けエントリーモデルの無線LANアクセスポイント「Cisco Wireless Access Point(WAP)シリーズ」、およびマネージドアクセススイッチ「Cisco SG350シリーズ」。

 今回の新製品中でも特筆すべきなのは、シスコ製品として定評のあるCatalystモデルのスイッチが中小企業向けに4万円台から販売されることだろう。日本の中小企業のニーズに合わせて開発されたCatalyst 2960Lシリーズは、IOSの機能群も搭載しつつ、日本語GUIによる設定が可能となっている(CLIでの設定も可能)。

 Catalyst 2960Lシリーズには、8/16/24/48ポートのタイプがあり、それぞれPoEの有無が選択できるため、合計で8種類のモデル展開となっている。なお、16ポートのモデルは日本のユーザーからの要望が反映された製品であるという。オフィスのデスクレイアウトが島型になっていることの多い日本では、島ごとに1つのスイッチを設置するケースが多く、8ポートではポート数が不足することがあるからだ。

 またCatalyst 2960Lシリーズは、全製品が最大奥行き30cm以下と非常にコンパクトなサイズとなっており、8ポートおよび16ポートのモデルであれば、マグネットで金属製のパーティションや机などに張り付けて使用することもできる。さらに48ポートのモデルを除き、ファンレスの静音設計となっており、まさに日本のオフィス事情に精通した対応といえる。

Cisco Catalyst 2960Lシリーズ

 なお、既存のマネージドスイッチである「Cisco SG300シリーズ」も、今回から後継のCisco SG350シリーズに置き換わる。IOSは搭載されていないが、簡単設定用の日本語GUIが用意されるとのこと。モデルによっては1万円を切るものもあり、エントリモデルのスイッチという位置づけになっている。

Cisco SG300シリーズ

 GbE対応の無線LANアクセスポイントCisco Aironet 1830/1850シリーズは、最大転送速度867MbpsでGbE×1ポートの「Cisco Aironet 1830」と、最大転送速度が1.7GbpsでGbE×2ポートの「Cisco Aironet 1850」の2種類のモデルを提供する。

 いずれのモデルもIEEE 802.11ac Wave2に対応。コントローラ機能を内蔵しているため、最大25台までのアクセスポイントの管理・制御が可能となっている。

Cisco Aironet 1830/1850シリーズ

 さらに無線LAN製品に関しては、Cisco Wireless Access Pointシリーズが1万円からのエントリモデルとして提供される。IEEE 802.11n対応の「Cisco WAP 131」のほか、IEEE 802.11ac Wave1対応の「Cisco WAP 150/361/571」を用意。Aironetのようにコントローラを内蔵しているわけではないため、故障した際のリカバリなどを自動化するといった自律的な制御はできないものの、最大で16台のクラスタリングが可能となっている。

Cisco Wireless Access Pointシリーズ

 さらに、スイッチや無線LANの設定/管理を行うオンプレミス版の統合管理ソフトウェア「FindITネットワークマネージメント」も新たに追加されている。こちらは、ネットワークのトポロジを自動で収集し、機器の障害検知や保守期限の管理なども行うことができるという。現状は英語版のみだが、2017年の第一四半期を目標に日本語GUIも提供する予定とのこと。

オンプレミス版の統合管理ソフトウェア「FindITネットワークマネージメント」は、2017年第1四半期に日本語GUIの提供が予定されている

 シスコ 専務執行役員 パートナー事業統括の高橋慎介氏は、「2015年9月に立ち上がったCisco Startシリーズは、この1年で日本市場においても順調に売り上げを伸ばしている。Cisco Startの中核になるCisco 841MJが価格性能比の高さを武器に売り上げ増加を牽引し、SOHO向けルータのマーケットシェアを9%から16%まで拡大させている。販売パートナーも2016年3月の時点では935社だったが、現在では1757社にまで増加しており、すべての都道府県に販売パートナーがいる」とCisco Startのと好調さをアピールした。

 また、高橋氏はCisco Startの業種別ソリューションの第1弾として、2020年に向けて学校など教育現場の情報化をサポートする文教ソリューション「Cisco Start 文教セレクション」を展開することも明らかにした。「今後は、文教以外にも様々な業種にソリューションを展開していく」と述べた。

シスコ 専務執行役員 パートナー事業統括の高橋慎介氏

 シスコの長年の実績に裏付けられた高性能なハードウェア、セキュリティ技術、クラウド連携の機能やサービスを、SMB向けの価格帯で提供することは容易ではない。しかも、SMBであれば専任のインフラエンジニアが不在の企業も多いため、CLIでの設定が当然と思われていたネットワーク機器に日本語のGUIまで搭載している。これらの対応から見ても、Cisco Startに賭けるシスコの本気度が窺える。