ニュース
日本オラクル、2017年度のハードウェア製品戦略を発表
専門組織を設置しエンタープライズ・クラウド推進へ
2016年7月5日 23:00
日本オラクル株式会社は5日、2017年度のハードウェア製品戦略に関する説明会を開催した。説明会では、プライベート、パブリック、ハイブリッドの形態を問わず、あらゆるミッションクリティカルなクラウドの基盤となるエンジニアド・システムをはじめとする同社のハードウェア製品に関するビジネス戦略と今後の方針について明らかにした。
日本オラクルは、6月から新年度(2017年5月期)がスタートしているが、ハードウェア事業の昨年度の概況について、日本オラクル 執行役員 クラウド・システム事業統括の山本恭典氏は、「昨年度のハードウェア事業の売上高は、下半期が前年同期比17.0%と好調に推移し、年間では前年同期比2.1%増となった。とくに、第4四半期は対前年度比47.6%増の74億円を記録し、サンとオラクルが統合して以来、過去最高の四半期売上高を達成した」と、第4四半期に大幅な売上増を実現したと述べた。
この売上増の要因について山本氏は、(1)「Oracle Exadata」の大幅伸長とともにバックアップおよびリカバリソリューションが拡大、(2)「Oracle Exalytics」や「Oracle Big Data Appliance」、「Zero Data Loss Recovery Appliance」、「Oracle SuperCluster」など、「Oracle Exadata」以外のエンジニアド・システムの売り上げポートフォリオも拡大、(3)フラッシュ・ディスクやテープなどILMソリューションの訴求、(4)メインフレーム用テープの躍進――の4つを挙げている。
今後のオラクルのハードウェア事業の展望については、「現在、国内のサーバー市場は5070億円、ストレージ市場は2720億円、合わせて7800億円規模の市場があると推定されている。その中で、当社のハードウェア事業には大きなビジネスチャンスがある」(山本氏)との考えを示す。山本氏は、サーバー・ストレージ市場における同社の優位性として、RDBMS市場で「Oracle Database」が圧倒的なシェア1位を確保していること、数千台のメインフレーム市場が存在していること、SPARC既存顧客が数万台あること、数千顧客のERP/PLM市場の更新需要があること、数千の「Data Guard」ユーザーがいること、「Oracle Exadata」+「BI Enterprise Edition」のセット導入が数百台に達していることを指摘。これらを踏まえて、同社のコンバージド・インフラストラクチャの強みを生かした事業展開を推進していくとした。
2017年度における国内での具体的な事業戦略としては、「今まではサーバーとストレージの2つの組織しかなかったが、サーバー・ストレージ市場でのビジネスチャンスをつかむため、重点製品にフォーカスした5つの専門組織を立ち上げた」(山本氏)という。今回新たに立ち上げたのは、最高パフォーマンスのエンジニアド・システムを扱う「Engineered Systems営業本部」、初のSPARC/Solaris専門チームとなる「Server営業本部」、事前構成済みのOracle DB専用マシンを担当する「ODA営業本部」、Oracle DBのバックアップに最適なストレージを扱う「Backup&Recovery営業本部」、あらゆるニーズをカバーするテープ製品を扱う「Tape営業本部」の5組織となっている。
また、2017年度の事業戦略として、「Oracle Exadata」テクノロジーの先進性を生かしたエンタープライズ・クラウドを推進していく方針も明らかにした。山本氏は、「たとえば、第一ステップでオンプレミスの本番環境に『Oracle Exadata』を導入し、第二ステップで開発/テスト/DR環境としてクラウドサービスの『Oracle Management Cloud』を提供する。そして、クラウド環境での開発・テストを踏まえて、第三ステップとしてオンプレミス環境のシステム拡張へとつなげていく」と、エンタープライズ・クラウドのモデルケースを説明。最近では、6月29日に発表されたリコーへの導入事例が、エンタープライズ・クラウドの代表例であると紹介した。
さらに、エンタープライズ・クラウドの推進に合わせて、パートナーエコシステムの強化も図っていくという。「日本の顧客はSIマネジメントへの要求が非常に高い。当社はテクノロジーカンパニーであり、製品を供給することが本来の役割だ。顧客が求める包括的なサポートを提供するためには、SIパートナーの力が不可欠になる」(山本氏)とし、今後、SIパートナーとの協業体制をさらに拡充していく考えだ。