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「GoogleやAWSの案件にはすべて勝ってほしい」~米Microsoftケビン・ターナーCOO

Microsoftがクラウドを所有しなければ誰がやるのか?

 続けて、ターナーCOOは、2016年度の事業戦略に触れ、「クラウドの所有」「Windows 10における勝利」「競合他社への勝利」「顧客満足度へのこだわり」といった4つのポイントを挙げた。

 ひとめのクラウドの所有では、「『使用するのがクラウドであり、クラウドを所有するという表現は適さない』、との指摘が社内からあったが、クラウドをわれわれが所有しなければ、誰がやるのか。クラウドの市場において、競合他社に比べて優れたテクノロジーやソリューションを持っているのは、Microsoftである。ハイパースケールのクラウドプロバイダーは、3社しかいない。その1社がMicrosoftだが、エンタープライズクラウドとして、プライベート、パブリック、ハイブリッドを持っているのは、唯一、Microsoftだけである。複合的なものも提供でき、われわれは競合優位性を持っている」とした

 「アイデンティティ、eメール、コミュニケーション、検索、ストレージの5つの観点から、クラウドビジネスに取り組む。これによって、クロスセル、アップセルが可能になる。こうした技術を持っている強みもある。Gartnerのマジッククアドラントでは、IaaS、PaaS、パブリッククラウドストレージサービス、x86サーバーの仮想化において、リーダーになっている。そして、最もオープンで、柔軟なクラウドサービスを提供できる。この点がまだ知られていない。もっと顧客に勧めてほしい」と、参加者であるパートナー各社に呼びかけた。

 さらに、「セキュリティ、プライバシー保護は、Microsoftのクラウドサービスの大きな差別化要素になっている。ISO27001に対応しているのはMicrosoftだけであり、EU Model Clauses、HIPPA、FISMAにも対応している。調査によると、クラウドサービスで、信頼できる会社として40%の回答がMicrosoftに集まっており、セキュリティを保護することができる会社でも38%となり、やはりナンバーワンはMicrosoftである。Microsoftは、顧客のデータを盗んだり、転用したり、売却することはしない」と語り、会場から大きな拍手がわいた。

セキュリティでは、もっとも信頼される会社とのデータが

 ここでは、Office 365では、400もの機能拡張が1年間に行われたことや、新たにOffice 365 E5が登場し、Skype for BusinessやCloud PBX、Enterprise Voice、Power BI、Advanced Securityなどが含まれることを紹介。

 「新たなエンタープライズ級のプレミアムサービスを提供できる。また、アップセルが可能になること、Advanced Securityの機能を求めるような新たな顧客を獲得できること、560億ドルの市場に対して、ビジネスチャンスが広がるといった3つのポイントがある。E5によって生まれるビジネスチャンスを逃さないでほしい」と語った。

ありとあらゆるサービスを提供するMicrosoft Azure

 さらに、Microsoft Azureについては、「単なるクラウドサービスではなく、IaaS、PaaS、SaaSまで幅広く対応し、ありとあらゆるサービスが提供できる。また、12カ月で500以上の新機能をリリースしており、ハイパースケールの価値を提供し、プレミアムサービスも提供できる。ぜひ、パートナー各社のなかにMicrosoft Azure専任の人を配置してほしい」とした。

 加えて、「EMSやCortana Analytics Suiteなどのエンタープライズスイートを使ってもらいたい。中でも、大きなチャンスをもたらすのは、EMSである。これは、Microsoft史上、最もホットな製品。Android、iOSにも対応したクロスプラットフォームであり、ひとつのベンダー、ひとつの契約、ひとつのSKUとして提供される。前年比700%の成長を遂げており、10億ドルのビジネス規模に到達する」と述べ、スイート製品をアピールしている。
 また、Microsoft Azureには、19のリージョンがあることを強調。「これは静かに増やしてきた」とコメントしながら、「AWSとGoogleをあわせたものよりも多い。しかも、2倍の設置面積を持っている。いまは130カ国でサービスを提供しているが、これはまだ途中である」と語った。

EMSなどのスイートをアピール
Microsoft Azureには、19のリージョンがある

 さらに、「私は、ISVの人たちを抱きしめたいと思っている。一時期は路線を見失っていた。いまはISVがとても大事であると考えている。一緒になって、共同でアプリを販売していきたい。業界別のAppが必要であり、さらにAzure Mentorプログラム(AMP)により、販売を加速する仕組みも用意している」などとした。

 また、ターナーCOOは、この半年間でMicrosoft Azureが130%増の成長を遂げていることを示しながら、「パートナーへのクラウドインセンティブはますます増やしていく。2013年度は10%であったが、2015年度は32%にまで増加した。2016年度は49%にまで増やす。クラウドへの投資はもっと増やしたい。いま、7万5000社が参加し、前年に比べて44%も増えたが、クラウドパートナーの数はまだ足りない。いまこそ、もっとクラウドパートナーが必要である。2018年度にはクラウド事業で200億ドルの規模を目指していく」と語った。

パートナーへのクラウドインセンティブを増加させていく

(大河原 克行)