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「GoogleやAWSの案件にはすべて勝ってほしい」~米Microsoftケビン・ターナーCOO
(2015/7/16 12:45)
米Microsoftが米国フロリダ州オーランドで開催しているパートナーイベント「Worldwide Partner Conference(WPC) 2015」の会期3日目となる15日(米国時間)、午前8時45分から始まった基調講演では、米Microsoftのケビン・ターナーCOOが登壇し、Achieving more Togetherをテーマに講演。
「GoogleやAWSの案件にはすべて勝ってほしい。われわれはそれらを使っている人たちを救わなくてはならない」と強烈な言葉を用いながら、競合クラウドベンダーに対するMicrosoftの優位性を強調。さらに、「Windows 10でもわれわれは勝者にならなくてはならない。そのためにはパートナーの協力が必要だ」と力強く語った。
この日の基調講演では、7人が登壇したが、講演の最後に、小走りでステージ上に登場したケビン・ターナーCOOは、「テクノロジーの世界において、こうしたパートナー網の仕組みを持っているのは、Microsoftだけである。パートナーからの売り上げは92%を占めており、それによってMicrosoftは収益をあげている」と語り、感謝の言葉をあらゆる言語でスクリーンに表示し、パートナーの労をねぎらった。
また、「この世界は破壊的な時代を迎え、ビジネスが大きく変わっている。それによって、どんな影響が出ているのか。良いニュースは、われわれは破壊的に世の中を変える企業を支援できる立場にあるということである。また、まわりにはその変化に気がついていない企業がいるが、それもわれわれにとってはビジネスチャンスである。そうした企業を助けることができるからだ。そのためには、われわれは、速く動くことが大切である」とした。
Microsoftは大きな野心を持っている
講演では、クラウドを取り巻く市場が大きな成長を遂げているのを示すことから、本題に入っていった。
調査によると、クラウド市場は、2018年に向けて年率14%増で成長し、2000億ドルの市場が誕生すること、クラウドで提供されるビジネスアプリが年率17%増で成長し、500億ドルの市場規模になること、クライアントデバイスも成長を遂げ、7350億ドルの市場規模に達することなどが明らかになっているという。
「IT市場全体では、2018年には2兆3000億ドルの市場規模となる。この大きな市場に向けて、既存の製品、サービスをテコ入れし、将来に向けて新たな製品、サービスを伸ばしていく必要がある。競合他社との競争は厳しいが、競争が激しければ良いものが登場する。これもチャンスにつながる。Microsoftは、技術的にも、コスト的にも、競合よりも優れたものを提供できる強みがある。最新の調査によると、今後、46%のユーザーがMicrosoftへの投資を行うと回答している。競合他社よりもはるかに高いものであり、これはわれわれにとって、大きなチャンスである。エコシステムを活用して、より良いサービス、テクノロジーを提供できる」などとした。
さらに、「Microsoftは大きな野心を持っている。それは、生産性とビジネスプロセスの改善、よりインテリジェントなクラウドの実現、よりパーソナルなコンピューティングの実現の3点である。これによって、動き方を変えていく」とし、それぞれの領域におけるMicrosoftの立ち位置を数字の観点から示していった。
生産性とビジネスプロセスの改善では、12億人のOfficeユーザーがいることを示しながら、7万以上のOffice 365販売パートナーがあること、Office 365が第3四半期に84%の成長を遂げたこと、Office 365ユーザーの80%以上が2つ以上のサービスを使用していること、第3四半期には毎月100万人のOffice 365ユーザーが増加したこと、iOSおよびAndroid対応Officeのダウンロード数が1億件に達していることなどにも言及。
「成長が加速している。Office 365は前年比40~50%の成長を遂げており、CRM Onlineは2倍以上の成長になっている」と、同社のクラウドサービスの成長が急拡大していることを強調した。
よりインテリジェントなクラウドの実現では、Microsoft Azureの利用者が倍増以上になっていること、7四半期連続で3けた成長をしていることを示したほか、フォーチュン500社のうち、85%以上がMicrosoftクラウドのサービスを利用していること、そのうち、60%が2つの以上のサービスを利用していること、Windows Server、System Center Server、SQL Serverでは第3四半期に前年比25%の成長を遂げたことを示し、「よくオンプレミスの戦略はどうなるのかと聞かれるが、オンプレミスも、クラウドによって、より良いものへと進化している。どちらも提供している強みを生かしたい」と語った。
そのほかにも、Microsoft Azureの仮想マシン上では動作しているOSの20%以上がLinuxであること、毎月9万人以上の新たなMicrosoft Azureユーザーが増加していることなども示した。
よりパーソナルなコンピューティングの実現においては、15億台のWindowsデバイスが利用されていること、8億5800万台のデバイスがWindows Updateを毎月利用していること、Windowsタブレットが前年同期比71%増となっているほか、Windows 10については、500万人がベータテストに参加していること、46の新たなハードウェアパートナーと、160を超える新たなデバイスが登場することなどを紹介。
「15億台のWindowsデバイスが、今後、アップグレードしていくことになる」とした。また、Windows Phoneに関しては、第3四半期にはLumiaが前年同期比18%増となっていることを示した。
こうした“野心”を実現する上では、「新たな時代において、新たなパートナーシップが生まれている。いままで考えられなかったような企業と、パートナーシップを組み、協業する場合も出ている。ここでは、競合からなにを奪ったらいいのかという話はしないので、がっかりするかもしれないが、競合だけではない世界が生まれているのは確かだ」などとした。
だが、講演の後半では、競合からいかに案件を奪うのか、という話を展開することになる。
ここまで話を進めたところで、ターナーCOOは、「The New Microsoft」という文字を表示し、「Microsoftは、New Microsoftへと変化している。では、新しいMicrosoftとはなにか。これは、ここにいるパートナー、社員のすべてで構成される。私たちが一緒になることで、New Microsoftになる。過去や、将来ではなく、いまこそが重要であり、一緒になって協力しなくてはならない。いまが、どんなに楽しい瞬間なのかを感じてほしい。Microsoftのパートナーであることを感じてほしい」と語り、スクリーンには、「We are the new Microsoft」の文字が表示された。
ターナーCOOが、「今日の講演で最も重要なスライド」としたのが、「Opportunity for Our Partners」と書かれたスライドであった。
ここには、「マーケットメーカーになること」「コンサンプション(消費)を加速させること」「スキルとスケールを構築すること」の3つが示された。
「レガシーの世界はまだまだ続くことになるが、その一方で、クラウドが爆発的に伸びる。そして、その上に次世代のサービスが乗ることになる。レガシーから新たな世界へ移ることを支援することが必要である。そして、Office 365の活用だけでなく、さまざまなクラウドサービスが消費されることになる。そのためには、マネージドサービスやパッケージ化された知財など、新たなスキル、新たなスケールが必要になる」などとした。
また、「顧客の成功を支援するためには、知財を活用することが必要である。それによって、デバイスのライフタイムバリューも上昇する。これを1年でやる。7万5000社のクラウドパートナーのすべてに、こうした取り組みをしてもらいたい」と語った。