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Microsoftのパートナーアワード、初の技術部門を含め日本から2社が受賞

Microsoft Worldwide Partner Conference 2014

 米マイクロソフトのパートナー向けイベント「Microsoft Worldwide Partner Conference 2014」において発表された2014年度の「Partner of the Year Award」が発表され、日本から、富士通とCSK winテクノロジの2社が表彰された。

富士通

富士通 執行役員常務 グローバルマーケティング部門長の松本端午氏

 Country Partner of the Year Awardsの表彰を受けた富士通 執行役員常務 グローバルマーケティング部門長の松本端午氏は、「マイクロソフトとは、2002年からグローバルパートナーシップを組み、強固な関係を築いてきた」と前置きし、「グローバルコミュニケーション基盤の自社導入成果、A5をはじめとするクラウド領域における戦略的協業成果、そして、Windows 8搭載デバイスの導入成果が評価されたものと考えている」とコメントした。

 富士通は、2011年度から、Lync、SharePoint、Exchangeなどのマイクロソフト製品を活用したグローバルコミュニケーションシステムを導入。全世界のグループ会社を含めたコミュニケーション基盤の統一およびワークスタイルの変革などに乗り出していた。

 第1ステップとして、メール、スケジュール、ウェブ会議などのコミュニケーション基盤の統一を国内拠点で開始。第2ステップとして、社内SNSやIP電話、Lyncの導入による音声融合、ナレッジ共有促進を開始、ワークスタイルの変革にも乗り出した。現在、第3ステップとして全世界の拠点にもグローバルコミュニケーションシステムを展開。2014年度中には、全世界17万人の社員がこれを利用することになっている。

 「富士通は、2014年4月の組織改革で、従前の日本、海外という区分をなくし、5つのリージョン体制に再編した。これはグローバルコミュニケーション基盤があったからこそ成し得たものであり、今後のグローバル展開においても重要な基盤になる。また、こうしたコミュニケーションシステムの効果は、出張費用が削減できるというメリットが強調されがちだが、他の拠点の人たちと手軽に会議ができる環境が整ったという効果の方が大きい。よりスピード感を持った形で意思決定ができるようになる」と導入効果を示した。

 同社では、自らの導入実績をもとに、海外に進出する日系企業を中心に、約100社にグローバルコミュニケーションシステムを導入した実績があり、約70万人が利用しているという。

 「今後は、海外企業にも展開し、3年間で1000億円の事業に育てたい」(富士通 グローバルマーケティング本部・松下香織シニアディレクター)。

 2つめのクラウドの戦略的協業では、PaaSおよびIaaSとして提供している「A5 for Microsoft Azure」、プライベートクラウドサービスの「Private Hosted A5+」、プライベートクラウド統合基盤の「Cloud Ready Blocks」などにおける協業のほか、Office 365の販売を5倍に成長させるなどの実績が評価された。

 「国内唯一のCloud OS NetworkパートナーとしてCloud OSにコミット。富士通が提案するクラウドイニシアテイブと連動して、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドの3つのクラウド領域で協業を行っているのは富士通だけである」(富士通 松下シニアディレクター)。

 A5では、製造業をはじめとする大規模事例などがある。今後はWindows Server 2003のサポート終了にあわせて、ハイブリッドクラウドソリューションの展開を加速させる考えだ。

 3つめのデバイス関連事業では、エンタープライズおよび教育分野においては、4万4000台のWindowsタブレットの商談を獲得。明治安田生命への3万台の導入のほか、佐賀県立高校、福岡銀行などの導入例がある。

 「Windows XPサポート終了にあわせた導入提案のほか、とくに法人向けの事業提案に成果があった」としている。

CSK Winテクノロジ

CSK Winテクノロジの印南淳社長
技術フェローを務めるCSK Winテクノロジの熊澤幸生氏

 一方、Data Platform部門でAwardを獲得したCSK Winテクノロジの印南淳社長は、「テクノロジー分野において、日本の企業がAwardを受賞したのは初めてのこと。その点では誇りに感じる」と受賞の喜びを語る。

 今回の受賞は、SBIリクイディティ・マーケットに対する、インターネットによるFX取引システム構築が評価されたという。「昨年もファイナリストには残ったがAwardを獲得することはできなかった。今年はぜひともAwardを取りたい」と考えていたと印南社長。

 同社は、1994年にアスキー・ネットワーク・テクノロジーとして設立。米Microsoftにとっても世界初の合弁会社に位置づけられている。事業開始以来、マイクロソフト製品に特化したシステムインテグレーション事業を展開。SQL Serverの第一人者と呼ばれる熊澤幸生氏が技術フェローとして在籍していることでも知られる。現在は、SCSKグループの1社となっている。

 SBIリクイディティ・マーケットでは将来のグローバル展開を視野に入れて、取引データベースの飛躍的なパフォーマンス向上を目指し、SQL Server 2014の早期検証プログラムに2012年10月から参加。インメモリOLTP機能を中心に技術検証と導入検討を重ねてきたという。

 2008年の設立以来、SBIクイディティ・マーケットでは、SQL Serverによる取引システムを構築しており、SQL Server 2008では、最大で毎秒20万トランザクションの処理能力と高い可用性を実現していた。

 CSK Winテクノロジの熊澤氏は、「従来のSQL Serverにパフォーマンスチューニングを施す方法でも対応は可能だったが、将来の加速度的なトランザクション量の増大を考慮すると、売買集計の管理を行うデータベースにインメモリ機能を用いることが有効だと考えた」と説明。

 インメモリOLTP機能の活用により、毎秒40万トランザクションを可能とし、「従来は20万トランザクションの処理に4~5秒かかっていたが、それが0.5秒で済むようになった。従来のデータベースに比べて、インメモリOLTPによる処理性能は30倍のパフォーマンス向上を実現した」とする。

 さらに、「低コストで導入でき、オラクルでインメモリOLTPを行うよりも2分の1以下になっているだろう。また、これまでダウンタイムはゼロ。高い可用性を持ったシステムとして稼働している」(印南社長)という。

 印南社長は、「来年もまた技術分野において、Award獲得を狙いたい」と意気込んでいる。

Award受賞企業に渡されたマフラーを手にする印南社長ら

大河原 克行