【VMworld 2012レポート】VMware、ポストPC時代のデスクトップソリューションを披露


米VMware 最高技術責任者兼R&D担当バイスプレジデント、Steve Herrod氏

 米VMwareは28日(米国時間)、サンフランシスコにて開催中のイベント「VMworld 2012」にて、5月に同社が買収したWanovaの持つデスクトップ管理ソリューション「Wanova Mirage」を紹介するとともに、モバイルワーカー向けの新プラットフォーム「VMware Horizon Suite」を発表した。

 イベント2日目の基調講演には、米VMware 最高技術責任者兼R&D担当バイスプレジデントのSteve Herrod氏が登壇した。同氏が最初に紹介したのはMirageだ。

 デスクトップ管理ソリューションとしてVMwareでは、すでに「VMware View」を提供している。Herrod氏はVMware Viewについて、「デスクトップをデータセンターに置くこのソリューションは、どこからでもデスクトップにアクセスできるというユーザーエクスペリエンスの向上につながったのはもちろん、管理の簡素化やセキュリティ面においても非常に優れている」と説明、すでにさまざまな事例や、Viewを統合したパートナーからのソリューションが数多く存在するとした。

 「ただし、Viewには課題もあった」とHerrod氏。それは、オフライン時には利用できないことや、グラフィックなどにおいてデスクトップと同様の機能が発揮できないこと、また高性能化が進むクライアントマシンのリソースを活用できないことなどだ。「こうした課題を解決するのがMirageだ」とHerrod氏はいう。

 Mirageでは、データセンターにデスクトップのイメージをコピーするが、システムの実行はローカルデバイス上で行うため、オフラインでの作業ができるようになる。ローカルデバイスで作業した内容はデータセンターで同期されるため、Viewを使った別のマシンからアクセスすることも可能だ。管理者がリモートからデスクトップを集中管理できる点はViewと同じで、Windows XPからWindows 7へのアップグレードもバックグラウンドで行うことができる。

 Mirageのデモでは、VMware マーケティング部門 エンドユーザーコンピューティング担当 バイスプレジデントのVittorio Viarengo氏が登場。壇上で足を踏み外して転倒し、ノートPCを壊すという体を張った演技を披露した上で、Mirageによって同期された壊れたPCの内容をモバイルデバイスで確認できることを示した。また、「新しいマシンは(BYODを文字って)SYOMしてMacBook Airを手に入れた。SYOMとはSpend Your Own Money(自腹)のことだ」と言って笑いを取り、Windowsマシンで行っていた作業をMacBook Airにて引き続き行う場面も見せた。


SYOM(自腹)のMacBook Airを使ったデモを披露するVittorio Viarengo氏デスクトップ管理ソリューションの「Wanova Mirage」と「VMware View」

 次にHerrod氏は、VMware Horizon Suiteを紹介した。これは、さまざまなデバイスを利用するユーザーが、クラウドを通じて必要なアプリケーションやデータにいつでもアクセスできるようにするためのプラットフォームで、すでに2011年のVMworldにてコンセプトを発表していたものだ。今回発表したのは製品のアルファ版で、年末にはベータ版が登場する予定だという。

 Horizonは、パスワードなどによってユーザーを認証する機能と、各ユーザーが許可されたアプリケーションやデータにのみアクセスできるよう承認する機能を持つ。具体的な製品群としては、データ管理機能を持つ「Project Octopus」、ブラウザでアプリケーションにアクセスするための「Project AppBlast」、アプリケーション仮想化の「ThinApp」、アプリケーションを統合管理する「VMware Horizon Application Manager」、モバイル端末で企業用アプリを利用するための「VMware Horizon Mobile」が含まれる。また、これまでHorizon MobileはAndroid端末にのみ対応していたが、今回iOSにも対応するようになった。

 Herrod氏は、「ポストPC時代とは、PCが使われなくなる時のことを指すわけではない。PCを含めたさまざまなモバイルデバイスが利用されるという意味だ。この時代が到来したいま、あらゆるデバイスにさまざまな方法で安全にデスクトップ環境を提供する必要がある」と述べ、Horizon Suiteの意義を強調した。


Horizonのコンセプト
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