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米Oracle エリソン会長が基調講演でクラウドの優位性をアピール

2014年はクラウド事業の転換期に~Oracle OpenWorld 2014

 28日(米国時間)から、米国サンフランシスコのモスコーニセンターにおいて、「Oracle OpenWorld San Francisco 2014」が開幕した。

 全世界145カ国から6万人が参加。これまでの中心となっていた情報システム部門の関係者以外にも、人事部門、マーケティング部門、サポート部門などの関係者が参加しているのが今年の特徴だ。参加者の70%が北米からの参加で、日本およびアジアパシフィックからは約7%の参加比率となった。会期中には2707のセッションが行われるほか、展示会場には460社が出展。また、オンラインによる参加は前年の200万人の3倍強となる710万人に達し、ソーシャルメディアのフォロワーも230万人に達したという。

 今年のOpenWorldのテーマは、「Modern Business in the Cloud」。会期中には新たなクラウドサービスが発表されるなど、例年以上に、クラウドにフォーカスしたイベントとなった。

クラウドに多くの時間を割いた基調講演

 日曜日ながらも会期初日となった9月28日の午後5時からは、先ごろ、CEOを退き、経営執行役会長兼CTOに就任したラリー・エリソン氏が基調講演を行い、「Modern Cloud」をテーマに同社の新たなクラウドサービスを発表。

 「地球上で必要とされるクラウドのほとんどを提供しているのがOracle。そして、オープンなクラウドプラットフォームを自ら提供できるのはOracleだけ。さらに、オンプレミスの環境からアプリケーションをワンタッチでクラウドに移行できる環境を実現するのもOracleだけである」などと語り、競合他社を強烈にけん制しながら、Oracleのクラウドサービスの優位性を強調。新たなクラウドサービスを紹介してみせた。

 約1時間10分の講演のなかで、強い対抗意識を見せている米salesforce.comの社名を10回にわたって連呼したほどだ。

米Oracleの経営執行役会長兼CTO ラリー・エリソン氏

2014年はターニングポイントの1年に

 エリソン会長は、講演の冒頭に、2014年における同社のクラウドへの取り組みについて言及。「2014年はOracleにとって非常に重要な年になった。そして、ターニングポイントの1年であった。Oracleは、2014年にクラウドに向けて数多くの技術を作り上げたこと、クラウド事業に大きな弾みがついたことがその理由」とし、「Oracleは、数年前にクラウドビジネスを考えた際に、アプリケーションによるソフトウェアサービスと統合したプラットフォーム、そして、インフラストラクチャのすべてを提供することが大切だと考えた。salesforce.comのようにSaaSの専業ベンダーになってはいけないと考えた。また、Amazon.comのようにIaaSの専業ベンダーになってはいけないと考えた。Oracleは、SaaS、PaaS、IaaSのすべてを一緒に提供するのが基本姿勢。それは30年前に、Oracleが顧客と約束したことだからだ」などと切り出した。

 講演では、後半になってこの答えに触れることになったが、エリソン会長は、「なぜ、クラウドのない時代に、Oracleはいまの結果を約束したのか。37年前に創業したOracleは、RDBを開発し、それをOracle Ver.2として発売した。Ver.1では誰も買ってくれないと思ってVer.2という名称にした。最初の顧客はCIA。第1世代のデータベースはミニコン向けに開発したが、第2世代のクライアント/サーバー時代に入る際に、顧客の要望を聞き、下位互換性を持たせて製品化し、データはそのまま移管できるようにした」と、創業当初を振り返る。

 そして、「第3世代となるインターネット時代に入ったときにも、同様に互換性を持たせて、アプリケーションやデータをそのまま移行させるということを行ってきた。いま、第4世代のクラウド環境へと移行するにあたり、同じことをユーザーは期待している。自分たちのアプリケーションや自分たちのデータを、自分ではコードを書き換えずに、次の世代の技術に移したいという要望がある。それに対応してきたのがOracleである。だからこそ、SaaS、IaaS、PaaSを自ら提供し、オンプレミス環境から簡易な操作でクラウド環境へと移行できるようにした」と語り、会場から大きな拍手が湧いた。

 続けて、エリソン会長は、「どんなJavaアプリケーションでも、どんなデータベースアプリケーションでも、ボタンをひとつ押すだけで、オンプレミスから、WebLogic Javaプラットフォームによる近代的なクラウド環境へと移行することができる」と胸を張った。

Oracleは4世代にわたってデータベースのアプリとデータの互換性を維持してきた
オンプレミスからクラウド環境へワンタッチで移行できるという

(大河原 克行)