イベント

米Oracle エリソン会長が基調講演でクラウドの優位性をアピール (Oracle Cloud Platformによる大きな進化とは)

2014年はクラウド事業の転換期に~Oracle OpenWorld 2014

Oracle Cloud Platformによる大きな進化とは

 2014年の取り組みに触れたあと、Oracle Cloud Platformを大きく進化させ、近代的でセキュアなクラウドアプリケーションを稼働させることができるプラットフォームが完成したと述べた。

 エリソン会長は、「Oracle Cloud Platformの根底にあるのは、Oracle Databaseであり、その上に乗るのが、WebLogic Java Cloud Serviceとなる。さらにその上で、ソーシャル、モバイル、アナリティクス、インダストリーという4つの重要な要素を乗せることになる。Oracle Cloud Platformでアプリケーションを開発すると、はじめからソーシャルアプリとなり、モバイルアプリとなる。またデータベースにマルチテナンシーが作り込まれていることから、マルチテナント型のアプリケーションになる。インメモリ、ビッグデータ、アナリティクスにも対応し、セキュリティも強化されたものになった。そして、SaaSアプリケーションを拡張するためにプラットフォームを提供する。ここに来るまでに8年かかったという点は認めるが、生産性が高く、近代的で、セキュアなクラウドプラットフォームが完成した。これは理にかなったものであり、最も強調したい点である」と説明した。

 さらに、「salesforce.comは、プラットフォームを持っているが、それはプロプライエタリなプラットフォームであり、Force.comしか使えない。そして、ワークディはプラットフォームを持っていない。Oracleは、自らプラットフォームを持ち、しかも、SQLスタンダードやJavaスタンダードに基づくものである。これはオンプレミスの時代から学んだことである」などと述べた。

 エリソン会長は、「われわれは2年前にSchema as a Serviceを発表した。これは、データベースアプリをクラウド上で開発し、Shered Schemaを提供するものであった。今回は、オンプレミスで存在するものとまったく同じ能力を、クラウド上で提供することができるものへと進化しており、さらにこれをオンプレミスへと戻すこともできる。柔軟性と選択肢を提供することができる。これを2014年9月から提供を開始する。SaaSアプリやIaaSの構築、標準プラットフォームを構築し、そこにOracleの機能を搭載し、ソーシャル、モバイル、セキュリティを作り込むというのは大きな仕事であった。Oracle自身が近代化し、みなさんの近代化を支援することになる」と語った。

Oracle Cloud Platformの基本的な考え方

出遅れたから残り1社を取れなかった?

 「クラウド市場において、現在のOracleの姿はどんなものか」――。

 エリソン会長はこう問いかけながら、まずは競合他社の状況について触れた。「SAPはクラウドで大きなパワーを実現したというが、それはなにに使うパワーなのか。そしてHANA上で稼働しているものはどこにあるのか。ARIBAはOracleを使っており、SuccessFactorsもOracleを利用している。NetSuiteもOracleを利用している。見回してみると、トップ20社のSaaSプロバイダーのうち、19社がOracleを利用している。Oracleは、クラウド事業をスタートしたばかりの会社であり、波に乗れずに、出遅れたともいわれる。だから、20社のうち19社しか取れなかった」などジョークを交えながら会場を沸かし、大きな拍手と笑い声が出ていた。

 そのほか、Oracle Cloudを運用するデータセンターの詳細についても紹介。3万台のコンピュータ、400PBのストレージを持ち、毎日6200万ユーザーが利用し、一日230億のトランザクションを処理していることを紹介した。

 さらに、Appleの故スティーブ・ジョブズ氏と散歩をしながら、ハードとソフトを同時にエンジニリングすることで、よりよいユーザー体験を提供できることを話し合い、お互いがその意見に同意したことなどについても触れた。

(大河原 克行)