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Oracle、パートナー向けクラウド戦略を強化

Oracle Partner Network Cloud Connectionを開始

米Oracleのアライアンス担当、Rich Geraffoシニアバイスプレジデント

 米Oracleは、クラウドビジネスを軸とした新たなパートナー戦略として、「Oracle Partner Network(OPN) Cloud Connection」および「Oracle Customer 2 Cloud」を開始する。

 OracleのRich Geraffoシニアバイスプレジデントは、「OPN Cloud Connectionは、より多くのパートナーにクラウドを扱ってもらうためのもので、OPNに参加していないパートナーが対象になる。参加費用は無料であり、リセラーとしての販売ノウハウを持たなかったり、クラウドの知識を持たない企業までを含めた新たなパートナーが参加し、これらの企業によってコミュニティを構成することになる。そこにOracleの知見を生かしてサポートする。Oracleが持つクラウドスイートとして提供できる強みを生かし、これを新たなパートナーが利用できるようになる」と位置づける。

 また、OracleアジアパシフィックのMark Lewisシニアバイスプレジデントは、「ドメインエキスパートという新たなパートナーを通じて、クラウドビジネスを加速することになる。ここには、HRコンサルタントやマーケティングエージェンシーといった専門分野の知識を持つ企業が参加することになる。クラウドビジネスが速度を速めていくなかで、こうしたパートナーとの関係が大切になってくる。新たな仕組みの活用は、パートナーにとってもチャンスが生まれることになる。また、パートナー同士の関係が強まることになる」と説明した。

OPN Cloud Connection

 一方で、Oracle Customer 2 Cloudは、オンプレミスで利用しているライセンスを、クラウドでも利用できるようにするプログラムで、ERPのみを対象に実施。クラウド利用の促進につなげる。

 パートナーによるクラウドビジネスの拡大は、Oracleのグローバル戦略においても重要な課題となっている。

 Oracle 北米セールス担当のTerri Hallグループバイスプレジデントは、「Oracleは、世界ナンバーワンのクラウドベンダーを目指しており、北米においては、2014年度にそのための取り組みを強化してきた。これにより、Oracleのクラウドビジネスは、2015年度も勢いが増していくだろう」としたほか、「北米におけるパートナーを通じたクラウドビジネスは、2、3倍へと拡大している」とする。

 また、OracleヨーロッパのDavid Callaghanシニアバイスプレジデントは、「欧州においては、各専門分野に特化したパートナーがクラウドに取り組みはじめており、その成果が出ている」と語り、OracleラテンアメリカのHugo Freytesシニアバイスプレジデントも、「南米でもクラウドに投資するパートナーが増加している」と現状を語る。

 さらに今後は、パートナーを対象にしたクラウドに関するトレーニングを開始。SaaSを中心に、パートナーによるクラウド販売体制の強化を支援する姿勢を明らかにした。

 あわせて、パートナーがOracle製品を調達するためのPartner Storeに、クラウドで提供するHCMとSCMを加えることも公表した。

 現在、Oracleのパートナー制度であるOPNには、アクセンチュア、デロイト、富士通、日立製作所など10グループの企業で構成されるダイヤモンドパートナーが全世界に500社ある。そのうち、日本では37社がダイヤモンドパートナーとして契約している。ダイヤモンドを筆頭に、プラチナ、ゴールド、シルバーの4段階のパートナー制度があり、全世界で2万2000社、日本では1800社が、パートナー制度に参加している。同社によると、この1年間で4600社以上の新たなパートナーが増加しているというが、今回のOPN Cloud Connectionは、それ以外のパートナーが参加対象となる。

 また、プラチナでは、パートナー企業の得意分野を、「顧客推薦」、「販売実績」、「技術者育成」の3つの条件から認定するSpecializationを5つ以上、ゴールドでは1~4つまで持つことが条件になっており、今後強化することになるパートナー向けクラウド戦略においても、オンプレミス同様、Specializationを軸として、パートナー企業を支援する体制を継続する。現在、200以上のSpecializationが存在し、5000社以上のパートナーが4万7000のSpecializationを取得。そのうち、700社、1万5000人がクラウド関連のSpecializationを取得しているという。また、全世界に25万人のOracle認定スペシャリストがいるという。

 「顧客のクラウド化に対して、パートナー企業がOracleの技術および製品でサポートする仕組みのほか、パートナー企業のクラウドビジネスの展開を、Oracleの技術、製品でサポートする仕組み、そして、Oracleのパブリッククラウドサービスを、パートナー企業とともに展開する仕組みを用意し、それぞれの領域からクラウドにおけるパートナーとの協業を行っていく」(日本オラクル オペレーション統括本部アライアンスストラテジー&オペレーションズ本部の小柳津里奈氏)としている。

 なお、日本における「OPN Cloud Connection」および「Oracle Customer 2 Cloud」の導入については現時点では未定としているが、クラウドビジネスを強化する上での有効な施策として位置づけていることを考えると、今後、日本での展開も前向きに検討することになりそうだ。

 OracleのCEOであるMark Hurd氏は、「クラウドビジネスは、パートナーとの連携なしでは成功しない。ISV、チャネル、システムインテグレータに向けた投資を行い、エコシステムを中心にクラウドビジネスを展開していく」などと述べている。

OracleのCEO、Mark Hurd氏

大河原 克行