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日本HPがパートナー・顧客向けイベント「HP Future Ready, Better Together 2023」を開催

サステナブルな成長を目指す新たな戦略“Future Ready”を推進

HP Future Ready, Better Together 2023

 株式会社日本HPは、8月2日・3日の2日間、千葉県浦安市のシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルにおいて、プライベートイベント「HP Future Ready, Better Together 2023」を開催している。

 中国およびインドを除くアジア太平洋地域の“グレーターアジア”を対象にした、顧客およびパートナー向けのイベントで、対面での開催は3年ぶりとなった。今回は「Empowering a Future Ready Greater Asia with HP」をテーマに開催され、約350人が参加した。

会場となった千葉県浦安市のシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル

 開催初日午前9時からした基調講演は、途中に休憩を挟み約3時間に渡って行われた。最初に登壇した日本HPの岡戸伸樹社長は、海外からの参加者が多かったこともあり、英語で講演を行った。

 「この3年間で、東京23区において在宅勤務を選択する人が17.8%から51.6%に増加し、日本においてもハイブリッドワークが定着している。これはエンドポイントセキュリティがより重要視されることを意味している。また、サステナビリティに対する関心の高まりや、生成AIの登場による新たな変化も始まっている。これにより、日本HPに対する期待値が変化してきたことを肌で感じている」と前置き。

 「HPは、加速する変化に柔軟に適応するとともに、サステナブルな成長を目指す新たな戦略としてFuture Readyを発表している。HPの戦略の中心にはお客さまがいる。サステナブルな成長はお客さま、パートナーとともに取り組むことで実現していきたい」と抱負を述べた。

日本HPの岡戸伸樹社長

 続いて登壇したHP グレーターアジア地域担当マネージング・ディレクターのビネイ・アワスティ(Vinay Awasthi)氏は、「日本は、テクノロジー、イノベーション、デザインで実績を持つ国であり、ワクワクする時代を語るには最適な開催地である。また、HPはアジアに進出して60周年を迎えたが、その始まりの地が日本である」と前置きし、「世界が速いスピードで変化し、その変化はテクノロジーに依存している。コロナ禍においても、多くの人たちが働き続け、学び続け、コミュニケーションを取り続けることができたのも、テクノロジーによるものだ。HPが、テクノロジーを通じて、変化への対応に貢献できたことは誇りである。そして、未来の試練やチャンスに対しても、さまざまなことを可能にする中心的役割を、HPの製品が果たしていくことになる。これがFuture Readyの意味である」と述べた。

 今後10年間における世界消費の成長のうち、アジア太平洋地域が50%を占め、それにあわせて、アジア各国でのデジタル化の動きがこれまで以上に活発化することを指摘。日本においては、教育分野における1人1台環境の整備に続き、農業分野では、2025年までにすべての農業従事者が先端技術を活用したスマート農業に取り組むことになることも指摘しながら、「アジア太平洋地域の成長とイノベーション、成功に貢献するには、AIをはじめとした最新テクノロジーに対して、容易にアクセスする環境を作ることが大切である。AIはPCやプリンタができることを再定義し、ワークフローのデジタル化を促進することになるだろう」などとした。

 HPのFuture Ready戦略では、「ポートフォリオ」、「オペレーション」、「お客さまとパートナー」という3点を柱に据えている。特にポートフォリオについては、「3年前のHPと、いまのHPは大きく異なる」とし、ビデオ会議システムのPolyの買収や、リモートアクセスソリューションのTeradiciの買収によるHP Anywareの展開、ゲーム向け周辺機器のHyper Xを買収などによって、「エンドユーザーソリューションプロバイダーとして、ハイブリッドワークに必要な環境を強化することができた」と語った。

HP グレーターアジア地域担当マネージング・ディレクターのビネイ・アワスティ氏

 HP チーフ・コマーシャル・オフィサーのデイブ・マコーリー(Dave McQuarrie)氏は、これを受けて、「拡張したポートフォリオを活用したHP Amplifyプログラムにより、パートナーのソリューション提案を支援することができる」と語ったほか、「ハイブリッドワーク、セキュリティ、サステナブル、サプライチェーン、AIの5つが重要なトレンドであり、HPとパートナーは、これらの分野において成長することができる。HPは完璧なエンドトゥエンドのポートフォリオを持っている。どこにいても、オフィスのなかと同じような環境で働くことが可能なハイブリッドワークに対応できる製品を提供している。また、PCのセキュリティを強化するだけでなく、プリンタもエンドポイントデバイスのひとつにとらえ、セキュリティ対応を行っている」と語った。

 さらに、「HPは、2040年までにネットゼロを目指しており、最もサステナブルな製品を提供しているテクノロジー企業だといえる。アジアでは90%の消費者がサステナブルに対して高い費用を払うといったニーズにも対応できる」と宣言。

 そして、「サプライチェーンにおいては、コロナ禍やウクライナ情勢によって、いままでやってきたことが通用しないということを多くの人が理解し、レジリエントとアジャイルを重視したものに変えなくてはならない状況にある。HPは、ここでもグローバル顧客のニーズに対応していくことができる。また、AIはすべてのオペレーションで使えるチャンスがあり、企業の一部に取り込まれ、同時に製品にも組み込まれていくことになる」と述べた。HP製品にもAIを積極的に採用していく考えも示した。

HP Amplifyプログラム
5つの重要なトレンド
HP チーフ・コマーシャル・オフィサーのデイブ・マコーリー氏

 約30年前に、インターンシップとして神奈川県藤沢市で働いた経験があるというエピソードから切り出したHP パーソナル システムズ事業担当プレジデントのアレックス・チョー(Alex Cho)氏は、「HPは、毎分1006台のPCを出荷しているが、これによって、人々が働き、学び、つながり、よりよく生きるための貢献を行っている。HPは、人々のためのイノベーションを続け、エクスペリエンスやソリューション、サービスを届けていくことになる」と語る。

 そして、「ハイブリッドワークにおいて、最も幅広いポートフォリオを持っているのがHPであり、仕事と生活の境目がなく利用する上で、より重視されたデザインをポートフォリオ全体に展開する一方、紛失した場合にもロックする機能などをすべての製品に展開している。つまり、パフォーマンスやセキュリティ、サステナブルでも先行しており、さらにPolyなどの周辺機器によって、優れたハイブリッドワークの実現を支援している。HPはハイブリッドワークのリーダーであり、イネーブラーである」と胸を張った。

HP パーソナル システムズ事業担当プレジデントのアレックス・チョー氏

 また、HP プリント担当シニアバイスプレジデント兼チーフ・オペレーティング・オフィサーのジョージ・ブラッシャー(George Brasher)氏は、新たに発表したTerra Jet技術を紹介。カートリッジサイズを30%削減し、プリンタ本体を17%小型化し、カーボンフットプリントを25%減らすことができることなどを強調。「コロナ禍において、ホームプリンティングの需要が増加するなか、最も強力なポートフォリオを持っているのがHPである。また、オフィスで働く人たちのためにも、最高のポートフォリオを用意している。特に、Terra Jetは中小企業にも最適な製品である。80%のパーツが5分以内で交換できるといった特徴もある。ハイブリッドワークが進展することで、セキュアで、管理ができるプリンタがより求められることになり、そこにもHPは貢献できる」とした。

HP プリント担当シニアバイスプレジデント兼チーフ・オペレーティング・オフィサーのジョージ・ブラッシャー氏

 PolyのCEOを務めていたHP ワークフォース・ソリューションズ担当プレジデントのデイブ・シュル(Dave Shull)氏は、「ハイブリッドワークの浸透によって、セキュリティが複雑性を増している。また、PCやプリンタが停止することで、業績に直接的な影響を及ぼすことが増えている。HPでは、バリューマネジメントオフィスという考え方に基づき、事業上の課題はなにか、ワークフローや生産性の観点からどんなメリットを及ぼすことができるのかを測定し、企業にバリューを提供している。ここでは、テレメトリーを活用して、問題が顕在化する前に解決することにも取り組んでいる。セキュリティの観点では、リモートでデバイスの電源を切ったり、ランサムウェアにも対応できたりするといった機能も提供している」などと述べた。

HP ワークフォース・ソリューションズ担当プレジデントのデイブ・シュル氏

 また、HP ESGレポートグローバル責任者のリン・ロー(Lynn Loh)氏は、「HPは、調達段階から、環境に配慮した最もサステナブルな製品づくりに取り組んでいるだけでなく、修理によって、長く使えるためのサービスや、リサイクルできるインクのサブスクリプションサービスなども提供している。さらに、パートナーとともに、サステナビリティに関する活動を拡大していくためのプログラムとして、HP Amplify Impactを用意している。2025年までには50%のパートナーがこのプログラムに参加してほしいと考えている」との姿勢を示した。

 ESG活動としては、HPがProject STOPに参画し、海洋プラスチックごみの削減に向けて、東ジャワでの循環型廃棄物管理システムの構築などを支援。日本では非営利団体のキッズドアに協力し、子供たちのデジタルデバイスの解消に貢献する活動を行っていることも紹介した。

HP ESGレポートグローバル責任者のリン・ロー氏

 最後に登壇したHP パーソナルシステムズ・デザインおよびサステナビリティ担当シニアバイスプレジデントのステイシー・ウルフ(Stacy Wolff)氏は、「サステナビリティを考慮したデザインは、ミッションではなく、パッションになってきた。デザイナーは、責任を持って製品を届け、長く残るものを、どうデザインするかに強い関心を寄せている」としながら、HPがPCに使っている再生プラスチックは5530万kgとなり、ザトウクジラに換算すると1429頭に匹敵すること、再利用している金属は810万kgとなり、象に換算すると1380頭になること、これにプリンタなどの製品や使用される紙などを加えると、5億1200万kgのリサイクル素材を再利用していることを示した。

 最新のPCでは、再生プラスチックを60%使用し、そこに有機素材としてコーヒー豆を少し配合していること、再生アルミニウムを50%使用するとともに、再生食用油も使用していること、梱包箱を一新し、再生材料を100%利用するだけでなく、サイズを62%削減し、配送時の効率性を高めていることも紹介した。

HPのサステナブルな取り組み
5億1200万kgのリサイクル素材を再利用
再利用している金属は810万kg
再生材料を使用している最新ノートPC
梱包箱を小型化することで効率的な配送が可能になる
再生材料を利用した梱包材
HP パーソナルシステムズ・デザインおよびサステナビリティ担当シニアバイスプレジデントのステイシー・ウルフ氏