イベント
VMwareが新セキュリティソリューションを発表、EDR/XDRやSASEなど
Carbon Black、Lastlineなど買収企業の技術も活用
2020年10月1日 11:51
VMwareは年次イベント「VMworld 2020」をオンラインで9月29日~10月1日に開催している。
多数の新発表の中でも、マルチクラウド、デジタルワークスペース、クラウドネットワーキングの分野にまたがって、多くがセキュリティの機能に関連した。これはVMwareが以前から掲げている「Intrinsic(備わっている、本質的な) Security」のビジョンによるものだ。これらの発表について本記事では紹介する。
エージェントレスなvSphereワークロードのエンドポイントセキュリティ
VMware vSphere上のワークロードのセキュリティでは、「VMware Carbon Black Cloud Workload」を発表した。2019年に買収したエンドポイントセキュリティのCarbon Black社の技術を元に、VMware vSphereと統合したEDR製品だ。仮想化、プライベート、ハイブリッドの各クラウド環境で実行されるワークロードを保護する。エージェントレスでテレメトリを収集するため、新規および既存のワークロードを自動的に保護して運用を簡素化できるという。
VMware Carbon Black Cloud Workloadは11月に発売予定。Kubernetesワークロードの保護を目的とするCarbon Black Cloudモジュールは、12月に提供される予定だ。
なお、vSphere 6.5とVMware Cloud Foundation 4.0のユーザーに対し、VMware Carbon Black Cloud Workload Essentialsの無償体験版を6カ月間提供する。
リモートワークやVDIなどデジタルワークスペースのセキュリティ
デジタルワークスペースの分野では「VMware SASE(Secure Access Service Edge)」が発表された。Workspace ONEのデジタルワークスペースに、ゼロトラストでのネットワークアクセスのVMware Secure Accessを組み合わせ、SD-WANによって世界中に分散されたPoP(Point of Presence)に接続して、NSX Firewallを適用する。
さらに、「VMware Cloud Web Security」として、協業するMenlo Security社のSWG(Secure Web Gateway)やCASB(Cloud Access Service Broker)、データ漏えい防止、サンドボックスなどの機能をSASEに組み込む。
同時に、Zscaler社との協業による統合機能も発表しており、ZscalerのゲートウェイセキュリティをSASEのインターネットアクセスに組み合わせる。
デジタルワークスペースのセキュリティではそのほか、「VMware Workspace Security VDI」と「VMware Workspace Security Remote」も発表された。VMware Workspace Security VDIは、VDIのためにVMware Workspace ONE HorizonとVMware Carbon Black Cloudを組み合わせた製品。VMware Workspace Security Remoteは、MacおよびWindows 10用のエンドポイントセキュリティのために、Carbon Black CloudとWorkspace ONEを組み合わせた製品。
Lastlineのネットワークセキュリティ技術をNSXに統合
クラウドネットワーキングの分野では「VMware NSX Advanced Threat Prevention」が発表された。サンドボックスやトラフィック分析、さらに買収したLastlineのネットワーク監視と対応の機能をNSX Firewallに統合。AIを活用して分析し、異常なアクティビティを明らかにする。
すべてにわたるセキュリティとしては、VMware XDR(Extended Detection and Response)もアナウンスされた。Workspace ONEやCarbon Blackのエンドポイント情報、Carbon Black Workload Detectionのワークロード情報、NSXのネットワーク情報など、さまざまなソースからの情報を分析して脅威を検出し、保護する。
管理自動化ツールのSaltStack社を買収
マルチクラウドの分野では、SaltStack社を買収する意向を発表した。SaltStackはインフラ管理自動化ツール「Salt」を開発する企業。VMwareでは、クラウド移行のVMware HCXやクラウド統合管理のVMware vRealizeに続き、シームレスにクラウドをまたがった構成管理ツールが必要なためSaltStackを買収したとしている。
また、vRealizeのSaaS版とオンプレミス版を単一のライセンスに統合した「vRealize Cloud Universal」も発表。アプリケーションのパフォーマンスを最適化するクラウドサービス「VMware vRealize AI Cloud」も発表した。
「CloudHealth」では、Oracle Cloud Infrastructureへの対応や、Cloud Health Secure StateでのGoogle CloudおよびAWSとAzureの、20のサービスを対象としたリアルタイム監視対応が発表された。