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Kubernetes Operatorなどさまざまなブレークアウトセッションを紹介、OpenStackの誕生パーティも
2019年8月2日 06:00
クラウド技術に関する年次カンファレンスイベント「OpenStack Days Tokyo 2019 / CloudNative Days Tokyo 2019」が、7月22日~23日に開催された。
本稿では、複数のブレークアウトセッションに加え、展示会の模様をお届けする。
Kubernetes Operatorからモバイルキャリアまで、さまざまなブレークアウトセッション
今回のCloudNative Days Tokyoでは、Kubernetesでの運用を自動化するためのKubernetes Operatorの話題が目立った。サイバーエージェントの桐井祐樹氏のセッション「Operator でどう変わる? これからのデータベース運用」では、そのOperatorの基礎から、Kubernetesでの変更に応じてMySQLクラスタの構成を自動的に追従させる方法などが解説された。
データベースなど、ステートフルなアプリケーションを動かすこと自体についてはKubernetesのStatefulSetでサポートされたが、データベースクラスタの構成などの固有の運用ナレッジをKubernetesのReconciliation Loop(調整ループ)で実行するためには、Operatorを使うことになる。
桐井氏はmysql-operatorの利用方法や障害発生時の動作、モニタリングなどについて解説。そして、Operatorによって、自動化のほか、運用タスクをパッケージ化して共有できるのも特徴であると語った。
Operatorでも使われるKubernetesの仕組み、「Custom Resource」と「Controller」をその場で作るセッション「[ライブコーディング] Custom ResourceとControllerを作ろう」も、Cloud Native Meetup Tokyoの青山真也氏、高石諒氏、斎藤和史氏、上村真也氏によって行われた。
Custom ResouceとCustom Controllerを作るには、作法がいろいろあるのが大変だという。そこでSDKやフレームワークがいくつか用意されている中から、セッションではKubebuilderを使った例が紹介された。なお、Kubebuilder v2.0.0のβ版が直前に公開されたところだったが、実演はv1系で行われた。
パネルディスカッション「モバイルキャリアパネル ~NFVインフラどうなってますか?~」では、NTTドコモの中島佳宏氏、KDDIの宮本元氏、ソフトバンクの三上紘輝氏、楽天モバイルの壬生亮太氏が、モバイルキャリアとNFVについて語った。モデレーターは松下康之氏。
各社のNFV化状況や、オープンソースのアップストリームへの参加、ベンダーとネットワークオペレーターの立場の違いなどが話された。また、VNFにかわるものとしてCNCFが提唱するCNF(Cloud-Native Network Functions)についても、自動化やテストなどのクラウドネイティブな手法で期待される効果と、実際のネットワークオペレーターとのギャップなどが議論された。
みずほ情報総研の板谷悟氏のセッション「〈みずほ〉におけるAWS・Kubernetesを活用したリアルタイム為替予測のアプリケーション開発」では、為替予測の機械学習のための、データサイエンティストによるモデル作製環境と、そのモデルを使ったリアルタイム予測環境について解説した。AWSの上でKOPSでKubernetesクラスタを作製し、GPUも利用しながら、SparkやTensorFlow、Jupyter Notebookを動作。環境構築にはHelmやTerraform、Spinnakerなどを使っているという。
エンジニアリング集団Riotz.worksの江藤武司氏のセッション「サーバーレス・ネイティブがお伝えする、フルサーバーレス開発の魅力」では、サーバーレス(AWS Lambda)を実運用システムで使った事例がいくつか紹介された。
ハマったところとしては、1つの処理を多段のステップの組み合わせにしたところ、Lambdaのタイムアウトが多発したりコールドスタートが大きな問題になったりして、クリティカルパスを地道に高速化したという。そのほか、JAMstackなども紹介された。
クラウドネイティブからメーカーまで集まった展示会
会場では展示会も開かれた。
展示会では、RancherやHashiCorp、CircleCI、Elastic、Datadogなど、クラウドネイティブ関連の企業のブースが並んでいた。また、クラウド基盤でストレージのコントロールプレーンを標準化しようというOpenSDSのブースも出展されていた。
CanonicalやRed Hat、SUSEといったLinuxディストリビューションのベンダーも、OpenStackやKubernetes関連のプロダクトについて展示していた。
Supermicroのブースでは、PCIeスロットを11スロット備える「SYS-2029P-TXRT」を展示し、そこにNVIDIA Tesla T4 GPUを並べる例を紹介していた。なお、展示機は永続記憶に使えるメモリーIntel Optaneを搭載していた。
AMDのブースでは、近く発表されるというZen 2世代のEPYC(サーバー向けCPU)を予告していた。
展示会ではないが、ロビーではホワイトボードに現場の疑問などを書いて議論する「Cloud Native Deep Dive」も行われていた。
1日目の夕方には、展示会の会場で参加者交流会が開かれた。その中で、毎年恒例であるOpenStackの誕生パーティが開かれ、OpenStack Foundationのマーク・コリアー氏やジョナサン・ブライス氏を中心に来場者たちが盛り上がった。