仮想化道場

“自働化”を実現した新型マイクロサーバー「HP MicroServer Gen8」の管理機能を試す

 前回は、MicroServer Gen8のハードウェアに関して解説を行った。今回は、HP社からお借りしたMicroServer Gen8を使って、iLO4の使い勝手などを紹介していきたい。

検証機のハードウェア構成

 今回お借りしたMicroServer Gen8は、プロセッサにPentium G2020T(2.5GHz)、メモリは2GB×2本(4GB)、HDDは6Gbps SATA仕様の500GB(7200rpm)が2基、CD/DVDドライブが搭載されていた。

 ハードウェアとしては標準的な仕様の製品だ。個人的には、2GB×2本ではなく、4GB×2本で8GBほど搭載されていれば、Windows Server OSなどを動かす上で大きな問題とはならないと思う。

 プロセッサのPentium G2020Tは、IvyBridge世代のプロセッサで、第3世代のCore i3シリーズから、キャッシュメモリの容量を少なくしたり、Hyper Threading機能などを省いたりした製品だ。

 サーバーとして運用するにはプロセッサの性能が気になるかもしれないが、いくつかのサーバーベンダーがエントリー向けサーバーで採用しているため、それほど気にする必要はない。

 ただ、コンシューマー向けのプロセッサをサーバーに使用しているため、いくつかの部分でサーバー向けのプロセッサと比べると見劣りする部分がある。

 実際、ハイパーバイザーをインストールして複数の仮想マシンを動かすことは可能だが、Pentium G2020Tでは性能不足という面が目立つ。MicroServer Gen8は、仮想化して、複数の仮想マシンを動かすという用途よりも、物理サーバーとして利用する方がぴったりだ。

 HDDは、3.5型HDDが4台搭載できるが、ホットプラグには対応していない。メンテナンスを考えれば、ホットプラグ対応になっていた方が便利だが、このクラスのサーバーを考えれば必須の機能とはいえない。

 それよりも気になったのが、前回の記事でも触れたように、6GbpsのHDDが2台、3GbpsのHDDが2台という構成だ。これは、チップセットC204の仕様による制限だが、Haswell世代(第4世代Core iシリーズ)のプロセッサと組み合わせて使用するインテルC220シリーズのチップセットでは、6Gbps SATAが6ポートサポートされている。すべて6Gbps SATAに統一されている方が便利だったのだが。

インテル C204の仕様。6GbpsのSATAは2ポート、3GbpsのSATAは4ポートになっている
インテル C220シリーズは、すべてのSATAポート(6ポート)は6Gbps SATAとなっている。チップセットがUSB 3.0を提供している

 MicroServer Gen8は、HP独自のソフトウェアRAIDのHP Dynamic Smartアレイ B120iが採用されている。このため、MicroServer Gen8ではRAID 0/1しかサポートしていない。

 もし、MicroServer Gen8でRAID5を利用したい場合は、PCI Express ×16スロットに挿すハードウェアRAIDカード「HP SmartアレイP222コントローラ」を利用することになる。コスト的にはカードが6万円ほどするので、カードの価格で、本体がもう1台買えてしまう。RAID5を利用するにはあまり現実的な方法とはいえない。このことから、MicroServer Gen8ではRAID5という選択肢はないと言える。

(山本 雅史)