仮想化道場
ターニングポイントが感じられる2013年のIntelサーバープロセッサ
(2013/7/5 00:00)
6月2日に、Intelのシングルソケット向けサーバープロセッサXeon E3 1200 v3シリーズが発売された。Xeon E3 1200 v3シリーズは、ノート/デスクトップPC向けにリリースされた開発コード名「Haswell」プロセッサを、ほぼそのままサーバー/ワークステーション向けに提供したモノだ。
今回は、Xeon E3 1200 v3の機能と2013年以降にリリースされるIntelのサーバー向けプロセッサに関して解説していく。
デスクトップ向けを流用したXeon E3 1200 v3シリーズ
今回発表されたXeon E3 1200 v3シリーズは、デスクトップ向けにリリースされた第4世代Coreプロセッサをそのまま使用しており、製造プロセスは、IvyBridge世代と同じ22nmとなっている。
まずは、「Haswell」の特徴から見ていこう。
CPUコアとしては、いくつか細かな部分に改良が加えられている。
例えば、256ビット演算のAVX(Advanced Vector Extension)にいくつかの命令を追加し、機能アップしたAVX2に改良されている。さらに、インデックス&ハッシング、暗号化、エンディアン コンバージョンなどの命令も追加された。
仮想化機能においても、Haswell世代では大きく機能アップしている。まず、仮想化(VT-x)において、Guest/Hostの遷移時間が短くなった。頻繁にGuest/Hostを行き来する仮想環境においては、大幅に性能が向上する。
またEPT(Extended Page Table)にも手が入り、キャッシュを無効化するvmexitを起こりにくくした。さらに、vmexitなしにハイパーコールを可能にするVMFUNC命令が追加されている。
ただし仮想化機能に関しては、ハイパーバイザーの対応が前提となるため、ハイパーバイザー側での対応が進まない限りHaswellのメリットは生きない。
もう一つの大きな改良は、Intel TSX(Transactional Synchronization Extensions)機能だ。
Intel TSXは、データベースなどで使われているトランザクションメモリ機能をプロセッサ上の命令としてサポートしたもの。つまり、特定のメモリデータだけをスレッドがロックして、データ全体をロックしないようにするトランザクションメモリ機能が、ハードウェアでインプリメントされる。
Intel TSXを利用すれば、データベースだけでなく多くの企業向けのアプリケーションで相当パフォーマンスが向上するだろう。ただしこちらでも、Intel TSXに対応したアプリケーションがリリースされないとメリットは享受できない。
Haswell世代のプロセッサは、GPUブロックの機能強化も果たされている。ノートPCやデスクトップPC向けには、CPUコアの改良よりも、グラフィックコアの改良が強く打ち出されていた。