仮想化道場

ターニングポイントが感じられる2013年のIntelサーバープロセッサ (「Haswell」の特徴は低消費電力性)

「Haswell」の特徴は低消費電力性

 デスクトップやノートパソコン向けHaswell世代の最大の特徴は、低消費電力性といわれている。UltraBookやタブレットなどで使用されるプロセッサは、発熱が低く、省電力で、コンパクト性が求められているからだろう。

 ラインアップとしては、Uシリーズ(UltraBook向け)、Yシリーズ(タブレットやトランスポータブル向け)などのプロセッサがリリースされた。U/Yシリーズは、CPUパッケージにCPUダイと周辺インターフェイスを搭載するPCHダイの2つを統合したモノになっている。

 これによりPCメーカーは、コンパクトなマザーボードを設計できる。さらに、CPUとPCHの2チップ構成よりも省電力化を図ることができる。これは、CPUとPCH間の距離が短いため、インターフェイスのための電力を削減できるからだ。

第4世代のCoreプロセッサ(Haswell世代)は、バッテリーライフの向上とグラフィック性能の向上がメインテーマとなっている
初めてCPUダイとPCHダイを1つにパッケージして、1パッケージでCPUを提供する。ただし、ノートPCやタブレットなどに向けた低消費電力版のみ

 もう1つ大きいのは、IntelがCPUの設計基準としていたTDP(Thermal Design Power)から、SDP(Scenario Design Power)という新しい基準に変更したことである。

 TDPは、CPUが発熱する最大値だが、SDPは特定のアプリケーションを動かした時の熱量だ。ノートPCなどではフルパワーでCPUを使う状況は少ないため、普通に利用している時の熱量をベースに設計する、ということになる。

 これにより、Ultrabookなどの超薄型のノートPCやタブレットなどでも、軽量で薄型の製品が実現できる。

SDPとは、実際の利用シナリオを考えた熱設計値。従来のTDPは、プロセッサの最大値を表していた。SDPをベースにすれば、熱設計が低くなるため、コンパクトなノートパソコンやタブレットがデザインしやすい
ノートPCやタブレット向けにSDP15W、SDP7Wのプロセッサを提供。
Haswell世代の低消費電力性

 ただし現状では、サーバー向けのXeon E3 1200 v3シリーズではSDPのコンセプトは採用されていないし、CPUダイとPCHダイを1つにパッケージしたプロセッサはサーバー向けには用意されていないので、サーバー分野には、適用されるとしてもまだ先になりそうだ。サーバーにおいても、用途によっては常にフルパワーで動かすことが少ないため、今後はSDPのような、シナリオごとの熱設計値が必要になるかもしれないが。

 なお、同クロック、同キャッシュサイズでXeon E3 1200 v3(Haswell世代)とXeon E3 1200v2(1つ前のIvyBridge世代)のTDPを比べると、Xeon E3 1240v2ではTDPが69W、E3 1240v3では80Wとなっている。

 両者ともGPUがオフになっている製品のため、GPUの差とはいえない。Xeon E3 1200 v3世代では、通常の利用時での消費電力や熱設計は小さくなっているため、運用上は省電力性が進んでいると思われる。

第4世代Coreプロセッサではグラフィック性能の向上も追求している
E3-1200 v3では、GT2レベルのP4700/P4600しか搭載していないため、それほどグラフィック性能はアップしていない

(山本 雅史)