仮想化道場

Software Defined Data Centerを作るために~VMware

自動化と運用管理が重要な要素に

 SDDCを構築する上で重要なのが自動化と運用管理です。vCloud Suiteには、自動化を担うvCloud Automation Center 6.0、運用管理のvCenter Operations Management Suite 5.8が用意されています。

 vCloud Automation Center6.0を利用すれば、承認や権限管理などのフロー化して自動化することができます。便利なのは、マルチプラットフォーム、マルチクラウドへも対応しています。

SDDCの管理レイヤとしては、自動化、運用、ビジネス化がキーポイントになる
vCloud Suiteでは、それぞれのエリアに対してソフトウェアを提供している
vCloud Automation Centerにより、さまざまな機能をまたいだ自動化が可能になる
作成されたスクリプトをカタログ化することで、ユーザーが必要とするサービスをプロセッサ、ストレージ、ネットワークに至るまで自動で構築できる
カタログ化により、新しいカスタム化されたサービス(XaaS)が構築可能になる

 vCenter Operations Management Suite 5.8では、健全生、リスク、効率性をダッシュボードのようにグラフィカルに表示します。管理者は、この管理用ダッシュボードを見れば、一目でデータセンターの状態がどのようになっているのかを知ることができます。

 単に情報をグラフ化して表示するだけではなく、動的なしきい値技術により、標準的な状態を学習して、自動的にシステムがしきい値をセットします。これにより、本当に異常なのか、作業負荷が上がっただけなのかを、システムが認識することが可能になります。また、アプリケーションやストレージの状態も視覚化して表示することもできます。

vCenter Operations Management Suiteでは、健全性、リスクなどのデータをダッシュボードからシステム全体をチェックできる
動的しきい値技術は、データの変化を学習して、異常かどうかをチェックする
アプリケーションの可視化もグラフィカルに行える
ストレージ全体の状況も可視化されている

 クラウドに対しては、VMware IT Business Management Suiteが提供されています。VMware IT Business Management Suiteは、vCACと連携して価格計算を自動的に行います。SDDCで構成されたプライベートクラウドとパブリッククラウドの比較なども簡単に行えます。

VMware IT Business Management Suiteはコスト管理や価格の設定などが行える

 今回インタビューを行って分かったのは、SDDCを実現のために第一歩を踏み出したと言うことだ。ほんとの意味でSDDCを完成させるためには、VMwareだけの力では不十分。ストレージ面では、親会社のEMCに期待する部分も大きい。また、NSXによりSDNの基本部分は提供できるようになったが、連携するハードウェア、NSX上で動作する仮想アプライアンスといった要素については、さまざまなサードパーティの力が必要になる。

 このようなことを考えれば、SDDCが本格的に完成するのは数年かかるだろう。特に、自動化や運用管理、クラウドビジネスなどのツールに関しては、完成度にばらつきがある。このあたりは、バージョンを重ねるごとに使いやすくなっていくだろう。

山本 雅史