仮想化道場

Software Defined Data Centerを作るために~VMware

 2012年後半からVMwareは、ビジネスのメインテーマをSoftware Defined Data Center(以下SDDC)としている。今回は、ヴイエムウェアのマーケティング本部シニア プロダクト マーケティング マネージャの桂島航氏に話を聞いた。

SDDCとは?

――VMwareはSDDCをテーマに上げていますが、SDDCとはどんなモノなんですか?

 クラウドの登場によりITに対する環境は大きく変化してきています。パブリッククラウドは、非常に簡単に調達できるため、IT部門の管理外で調達されて利用されていることが多くなっています。また、IT部門自体もコスト面からパブリッククラウドを積極的に利用していこうとしています。

 そこで問題になってくるのが、業務部門にとっては、IT部門が持つリソース(プライベートクラウド)とパブリッククラウドとが、てんびんにかけて比較される対象になってきていることです。このため、社内のシステムであっても、パブリッククラウドと同じような柔軟性、管理性などが必要になってきています。

 また、パブリッククラウドを幅広く利用する上では、各クラウド特有の環境に依存した垂直型クラウドの問題性、ビッグデータやモバイルなど新たなアプリケーションの登場、クラウドのセキュリティやコンプライアンスに関する問題点などがあります。

ガートナーのデータでは、業務部門がパブリッククラウドによりシステムを構築することが、2015年までに大幅に増えてくると予測している
パブリッククラウドは、新しい問題をはらんでいる。IT部門は、パブリッククラウドをライバルとして、業務部門に選択されるITシステムを構築する必要がある

 このようなことを解決するために、SDDCというコンセプトは考えられました。

 SDDCは、CPUやメモリなどのコンピュート、ネットワーク、ストレージなどを仮想化して、柔軟にシステムを構成したり、管理できるようにするモノです。もう一つ重要なのは、システム全体を容易に運用管理できるようにしたり、自動化したりできることです。これにより、プライベートクラウドにおいても、パブリッククラウドと同じような簡単な管理性や操作性を業務部門に提供します。

 またパブリッククラウドもSDDCに包含されているため、業務部門が必要とするサービスレベルを考え、セキュリティ面での問題なければパブリッククラウドを利用することもできます。

 SDDCを本格的に実現するには、VMware1社では不可能です。従って当社としては、APIを公開するなどして、サードパーティと連携し、エコシステムを構築していきたいと考えています。

SDDCこそが、今後のIT部門にとって大きな武器となる
SDDC化することで、さまざまな問題点をクリアすることができる。また、パブリッククラウドさえも、SDDCの一部として包含して、運用管理することができるようになる

(山本 雅史)