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京都桂病院、Google WorkspaceとAppSheetの活用で医療現場が業務改革を推進
2025年12月12日 11:00
Google Cloudは11日、京都市の京都桂病院がGoogle WorkspaceとAppSheetを活用し、医療現場が自ら業務改革を推進している事例を紹介した。
京都桂病院は2024年4月、薬剤師や臨床工学技士など、医療現場を深く知るメンバーが中心となって情報企画室を立ち上げ、院内のDXを推進している。その一環として、2024年9月にGoogle Workspaceを導入し、紙ベースの作業が主流だった業務環境が、Google WorkspaceとAppSheetの活用によって大きく変化したという。
利用しているサービスは、Google Workspace、AppSheet、Google Chat、Googleドライブ、Googleスプレッドシート、Googleドキュメント、Gmail。利用しているソリューションは、Digital Transformation、Application Modernization。
京都府内で7つしかない500床以上の大規模病院の一つとして、京都市西部の地域医療を支える京都桂病院では、多くの医療機関と同様にIT化やDXの推進が課題となっていた。同院では外部委託により電子カルテを導入していたが、それだけでは契約範囲外の業務改善や新しい要望には応えられず、現場のニーズとの間に隔たりが生じることから、内製化のための部署を立ち上げた。
設立した情報企画室には、臨床工学技士や薬剤師などIT専門職ではないスタッフが集まり、最初のミッションとして老朽化したメールシステムの刷新に取り組んだ。多様な職種が協働し、ITスキルもさまざまな病院特有の背景があるからこそ、Google Workspaceを選択したという。
情報企画室の活動により、当初の目的だったメールシステムの刷新は完了。さらにGoogle Workspaceの活用、特にGoogle Chatを活用したチーム内のコミュニケーションや、Googleドライブによるファイル共有も約1年で院内に浸透した。
その効果はまず「紙」の削減となって現れ、導入から約1年で紙の使用量が160万枚削減されたという。また、紙の削減は業務の効率化にも直結しており、その一つが頻繁に行われていた「聞くだけ会議」の削減で、会議の議題をGoogleドライブで事前に共有し、Google Chatで議論する文化が定着したことで、変化が生まれたという。
Googleドライブの検索機能も現場の業務を変えており、手術室の膨大なマニュアル検索が瞬時に行えるようになったほか、Gmailの導入によって、以前のシステムでは困難だったメール本文の検索も瞬時に行えるようになり、情報アクセスの速度が向上したと説明。また、Googleスプレッドシートの「同時編集」機能も、院内のさまざまな業務を変革しており、特に新人看護師の評価業務では、アナログな集計作業が効率化されたとしている。
また、Googleスプレッドシートによる効率化は、院外のパートナーとの連携にも及んだ。入退院管理では、以前は毎日約50人発生する退院患者の病室清掃の依頼を、各病棟がFAXで行っており、外部の清掃委託業者が毎日100枚単位の紙を手入力で集計していた状況が改善された。
さらに、ノーコードでアプリを開発できるAppSheetを利用して、約1年間で25個のアプリを開発。薬剤部の在庫管理や医薬品情報のQ&Aアプリといった専門的なものから、紙の伝票で行っていたメーカーやベンダーの「入退室管理」、事務系の「物品請求アプリ」まで、院内の「面倒な作業」をデジタル化していった。現在では、災害発生時の職員安否確認などを含む「病院アプリ」の開発にも着手しており、運用に向けて準備を進めているという。
