あらためて見つめ直すBPMの価値~PART03 座談会~過去の“蹉跌”、そして展望


 システム創造人のための情報源、「IT Leaders Web」より最新コンテンツをお届けします。同サイトでは、企業情報システムの企画・構築・運用に欠かせないトレンド情報や、最新製品/サービスの詳細を解説しています。ぜひ、「IT Leaders Web( http://it.impressbm.co.jp/ )」もご参照ください。

全体最適の意識が薄かった~長期的視点の利益追求で今後はBPMが不可欠に

 日本においてなぜ、PBMは広がらないのか。そもそも必要性がないのか。最前線の場でBPMの意義を訴え続けてきたベンダー4社の担当者が、これまでの国内ユーザーの状況を振り返りながら語る。

【出席者】
渡辺 隆氏:日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業 SWブランド&チャネル・マーケティング WebSphereマーケティング・マネージャー

力 正俊氏:パワード プロセス コンサルティング社長

高野 忍氏:ソフトウェア・エー・ジー 第1営業本部 システムエンジニアリング マネージャー

神沢 正氏:SAPジャパン ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部 プラットフォーム営業部 部長

 


◇    ◇    ◇

―― 業務をプロセス単位で可視化して組み替えを容易にし、それに沿って柔軟にシステムを連携させようというBPMは、非常に分かりやすいソリューションです。しかし率直に言って、国内でBPMの利活用が進んでいるとは言い難い。海外ではどうでしょうか。BPMを実践する企業は多い?

渡辺:米国ではかなり普及が進んでいます。フォード・モーターやジョンソン・エンド・ジョンソンといった企業の事例は有名ですよね。

力:欧州でもBPM需要は伸びていますよ。例えば、ドイツの自動車大手であるアウディは2005年からBPMに取り組んでいます。そもそもの発端は「2015年までに、社員数や設備をそのままに、生産台数を2倍にする」という経営ビジョンです。同社はこのビジョンを実現するために、設計・開発や調達業務におけるリードタイムを2分の1に削減するという目標を立てた。そしてそれには、BPMによるプロセス改善を着実に進めるしかないと決断したんです。

高野:ちなみに、ドイツにいる当社のCEOはBPM市場を、「ERPの2倍は盛り上がる」と言っていますよ。

プロセスのとらえ方に差~欧米企業は担当役員も

―― では日本と欧米で、BPMの取り組み状況にはなぜそんなに差があるんでしょうか。

神沢:日本企業には、「全社の業務プロセスを見える化して再整理しよう」という全体最適の視点があまりないように感じます。その点、海外企業は全体最適を意識したガバナンスの効かせ方がうまい。

渡辺:海外と国内企業の取り組み状況を比較して強く感じるのは、プロセスのとらえ方の違いですね。欧米人が言うプロセスの粒度は、我々が思うより大きいんですよ。彼らは、調達・製造・物流といった部門をまたがったレベルでプロセスをとらえている。BPRで業務プロセスを抜本的に見直したうえでERPを導入し、プロセスを標準化。さらに、BPMでプロセス改善を継続するというステップを踏んできたからでしょう。一方、日本企業はプロセスというと、文書回覧など現場での業務手順に近いものを思い浮かべます。このため、BPMの意義を理解しづらいんです。

―― 現場の手順なら、担当者の工夫でなんとかできる。わざわざ部門を超えるプロセスを見直す必要はないと普通は考えるでしょうね。

渡辺:そう。それで結局、局所的なカイゼン活動に閉じてしまいやすい。日本と欧米の違いをもう1つ挙げましょう。欧米の大企業には必ず、社内の業務プロセスを管理する組織があります。プロセスオーナーがいて、その下にプロセスアナリスト、プロセスモデラーという体制です。ある大手米銀は、200人以上のプロセスモデラーを抱えているといいます。

力:あちらには、「CPO」という役職もありますよ。

―― CPO?

力:Chief Process Officer。最高プロセス責任者のことで、欧米では大企業の多くが設置しています。CIOより格上のポジションなんですよ。業務プロセスの最適化に責任を持つ役員がいる。これは日本との大きな違いです。

<<→この続きはIT Leadersでお読みください>>

関連情報
(記事提供: IT Leaders)
2010/8/31 06:00