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次世代プライベートクラウド「VCF9」リリース VMwareの“メインフレーム化”に対する選択は

 Broadcomが「VMware Cloud Foundation 9」(VCF9)をリリースして、プライベートクラウド戦略の成果を示した。数々の新機能を取り込んだ統合スイートとなった一方で、顧客にはライセンス変更への不満がくすぶっている。「メインフレーム化した」とも言われるVCF9か、それとも他の道を選ぶのか。企業ユーザーは「vSphere 8」のサポート終了までの選択を迫られている。

買収から573日、「プライベートクラウド戦略ビジョンの集大成」

 「VMware Cloud Foundation 9(VCF9)」は6月17日に一般提供が開始された。VMwareが「VMware by Broadcom」として再スタートして1年半。主力製品の初のメジャーリリースとなる。

 VCF9の特徴は、モジュール型設計の導入とIaaSスタックと自動化をフルで統合したアーキテクチャにある。IT管理者にも開発者にも対応したインターフェイスを備え、パブリッククラウドのような手軽さでプライベートクラウドを運用できるという。「素早く動くパブリッククラウドか、自社が管理できるオンプレミスかの二者択一だったが、この妥協はもはや必要ない」(VMwareのブログ)とする。

 VMwareは、コンテキストの統一がリリースの中心であると説明している。容量警告のトラブルシューティング、新しいテナントのオンボーディング、CI/CD用インフラテンプレートの公開など、すべて同じポリシーモデルや同じAPIサーフェス(API公開範囲)などから作業できるようにした。

 また、AIなどのモダンなアプリと従来アプリの両方に対応し、ベアメタル級の高速なVMとフルマネージドのKubernetesを同一基盤で並行して稼働できる。このほかデータ主権の要件に対応できるよう、データ保存場所の管理機能や地理的制限ポリシーも搭載した。同時にNVMeメモリ階層化やvSANでのグローバル重複排除でTCOを削減可能で、コスト管理機能も組み込んだという。

 The Registerは、「(2023年11月の)VMware買収から573日をへたBroadcomのプライベートクラウド戦略のビジョンの集大成であり、最新のプライベートクラウドのテンプレートと主張する製品」と記している。