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次世代プライベートクラウド「VCF9」リリース VMwareの“メインフレーム化”に対する選択は

VMware事業の売り上げは大幅アップ 87%が新ライセンスに移行

 BroadcomはVMware買収後に多くの変更を行った。永久ライセンスの廃止、サブスクリプションへの移行、製品ラインアップの集約などで、これらには顧客の不満が噴出した。

 だが、統合戦略は少なくとも財務面では成功を収めている。6月に発表した2025年第2四半期の決算では、インフラソフトウェア事業部(VMware、Computer Associates、Symantec企業向け事業で構成)の売上高は65億9600万ドルで前年同期比25%増を記録した。営業利益率は76%に達し、前年の60%から大幅に改善している。

 BroadcomのCEO、Hock Tan氏は「AI半導体ソリューションとVMwareの継続的な勢いにより、記録的な第2四半期の収益を達成した」とコメントした。Tan氏は、VMwareのトップ1万顧客の87%がVCFプライベートクラウドバンドル契約にサインしたと胸を張った。

 The Registerは、買収前の合計売上高(約54億ドル)と現在の約66億ドルを比較し、「Broadcomは四半期あたり約10億ドルのVMware売り上げ増を実現した」と分析している。だが、Tan氏によると、ライセンス更新はまだ進行中で、18カ月続くと予想される更新サイクルの「半分以上」が済んだに過ぎないという。

 では、顧客が満足しているのかというと、そうではなさそうだ。Computer Weeklyは、「組織・企業の3分の2が、VMwareライセンス変更には既に否定的」とGartnerの調査データを紹介して伝えている。

 約700のGartnerクライアントと面談したというGartnerの副社長兼アナリストMichael Warrilow氏によると、多くの組織は「他社はどうしているのか」と聞くなどして、いまだ混乱している様子だという。

 ユーザーの選択肢は、「VMwareの維持」「他の仮想化製品への移行」「コンテナ化」「クラウドへのリフト&シフト」と大きく4つだが、「単純なハイパーバイサーの置き換えでは価値を生まない」など、VMwareを維持する以外の選択肢は簡単ではないと示唆する。VMwareの維持ならコスト増は避けられない。

 Tan氏が語るトップ顧客87%もの契約は、積極的というより、選択肢が他にないためとも解釈できる。