Infostand海外ITトピックス

Perot SystemsをNTTに売却へ、EMC買収に向けて技術資産をそぎ落とすDell

資金調達に苦しむDell、Perotの売り先も現れては消え

 Perot Systemsの買収当時は、DellはPC事業からの拡大を図っている最中。ソフトウェア、サービスと“エンタープライズベンダー”に必要なパーツを、買収により急ピッチで取りそろえていた。

 Perot買収時のプレスリリースでDellは「ITサービスポートフォリオを拡充し、Perot Systemsのグローバルリーチを補完できる」とうたっていた。ITサービスの取得に加え、Perotの顧客にDellのシステムを提供するクロスセル効果も狙ってのことだった。

 その後2013年、Dellは株式非公開化によって非公開企業となり、株主の目を気にすることなくエンタープライズベンダーを目指す。そして飛び出したのが技術業界市場最高額でのEMC買収だ。Dellは450億ドルを借り入れて買収資金とする計画だ。

 しかし、2月中旬のNew York Postが、この取引を率いるJPMorganの情報として伝えたところでは、資金調達は難航しており、最初の100億ドルの調達が予定より10日遅れるという。このところの株安などを受けて、当初の見通しよりも厳しくなっているとのことだ。

 DellがPerotの売却に向けて動き出したのは2015年末だった。フランスのITサービスAtos、インドTata GroupのTata Consultancy Services(TCS)、GEから独立したITサービスのGenpact、カナダのIT企業CGIなどの名が交渉先として伝えられている。

 このうち有力だったのがAtosで、1月早々からRe/CodeやFortuneが、40億ドルでの売却交渉が行われていると報じていた。Business Finance Newsは「42~43億ドルの範囲で買収提案をしていたが、Dellが望んでいたのは50億ドル」だったと伝えている。

 しかし、Re/Codeによると、2016年に入ってAtosの株価が大きく下がったため、この話は消えたという。また、TCSとは、金額面で折り合わず決裂していたという。

 NTTとの交渉が最初に明らかになったのは2月で、Reutersが複数の情報源から得たスクープとして伝えた。NTTデータがPerotの有力売却先として浮上しているということだった。

(岡田陽子=Infostand)