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ISへの宣戦布告 Anonymousの“サイバー戦争”

 市民130人の命を奪ったパリ同時多発テロの後、ハッカー集団Anonymousが実行主犯とされるIS(イスラム国)に対し、サイバー空間での“宣戦布告”を行った。これまでに宗教団体や、人種差別組織などを標的にしてきたAnonymousが、今回は「過去最大の攻撃」を宣言。数日後にはIS関連の2万件のアカウントを閉鎖させたとしており、さらにネットを使った新手の攻撃を仕掛けている。“義憤”に発する闘いとしているが、その有効性には疑問視する者も多い。

Twitterのアカウントに次々と攻撃

 「われわれは過去最大の攻撃をする。たくさんのサイバー攻撃があると覚悟しておけ」。事件の翌日11月14日、Anonymousを名乗るアカウントがYouTubeに投稿したビデオだ。1分足らずのビデオでは、Anonymousの象徴としておなじみになったガイ・フォークスのマスクをかぶった人物が、次のように述べている。

 「このような攻撃に罰が下らないわけがない。だからこそ、世界中のAnonymousアクティビストがお前たちを攻撃する。そう、お前たちだ。罪もない犠牲者を殺したクズだ。(過激な風刺画で有名になったフランスの週刊新聞の)Charlie Hebdo攻撃を実行したお前たちだ。Anonymousからの膨大な攻撃に備えるがよい。必ずお前たちをみつけてやるし、手を緩めることはない」

 メディアはこれを「ISに対するサイバー宣戦布告」(Fortune)と報じた。Twitterでは#OpParis、#OpISISなどのハッシュタグが付けられており、@OpParisOfficialと名乗るアカウントは16日、「親ISのTwitterアカウント1768件以上がダウンした」とツイートした。

 アカウント数はその後「3824件」に増え、翌17日には「5500件以上のISのTwitterがダウンしたことを報告する」と経過をツイートしている。そして、21日には8250件、23日には1万1000件に達した。「セッション攻撃を開始したことを報告する。親ISとみなされるアカウントをすべて攻撃する」としている。

 攻撃者は同時に「ハウトゥー・ハックガイド」を公開し、参加者を募っている。

(岡田陽子=Infostand)