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「Apple Music」発表、後発Appleは勝てるのか?

音楽ストリーミング市場を席巻するのか

 音楽ストリーミングサービスは2002年の「Rhapsody」でポピュラーになった。現在最大手のSpotifyの創業は2006年。その後じわじわとユーザー数を増やし、現在では「デジタル音楽の将来はストリーミング」にあるとの見方も強い。一方で従来の主流であったダウンロードは衰退するとみられている。

 Wired.comはPwCの調査として「音楽ダウンロード市場は2020年にかけて大きく縮小し、ストリーミング市場は拡大する」との予想を紹介している。Bloombergは、音楽ダウンロードの売上高が2012年を頂点に緩やかな下降曲線を描くのに対し、有料のストリーミングが上昇するという国際レコード業界団体IFPIのデータを挙げている。Reutersは、米国レコード協会(RIAA)のデータとして米国における有料ストリーミングサービスの加入者が2014年に、前年比26%増の770万人に達したと報告している。

 そしてSpotifyこそ、ストリーミング市場の立ち上げに大きく貢献したベンチャーで、現在の王者だ。Bloombergによると、Spotifyはデジタル音楽サブスクリプション全体の37%を占める。ここに参入するAppleはSpotifyをはじめとする専業サービス事業者と競合することになるのだが、その成否についてメディアの見方は分かれている。

 Wired.comはAppleの成功に懐疑的で、エンタメ系コンサルの「米国ユーザーの多くは、有料の音楽ストリーミングサービスを利用していない」とのコメントを紹介。有料のみのAppleが新規ユーザーを開拓するのは簡単ではないとする。さらに音楽アナリストの「(Apple Musicに)決定的な新しさや差別化がない限り、Spotifyのロイヤルユーザーが移行する理由がない」との見方を挙げる。

 一方、PC Worldは「Apple Musicがそこそこの出来であれば成功する」と予想する。理由は「iPhoneのデフォルトサービスだから」というシンプルなもので、「一般ユーザーは結局のところプラットフォームにしっかり統合されたデフォルトのサービスを使っているのが現実だ」とプラットフォームの優位を指摘する。

 また、Bloombergは、参入が遅いことを認めながら「そのうち成果が出るはず。そして、Appleにとって主要な資産になるだろう」(MIDiA Researchのアナリスト)とのコメントを紹介している。

 当のAppleはどう考えているのか。AppleのJimmy Iovine氏とEddy Cue氏へのThe Guardianのインタビューでは、Apple Musicのサービスの特徴については、人の手によるプレイリストを強調するにとどまっている。

(岡田陽子=Infostand)