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Acerに何が起こったのか 創業者自らが再建へ

 PCメーカー大手の台湾Acer(宏碁)が今月になって2回のトップ交代を発表。引退していた創業者Stan Shih(施振栄)氏が、9年ぶりに会長兼暫定社長として復帰することになった。業績低迷の中での異例の措置だが、様相はドタバタ劇のようになっている。一度は世界PC市場第2位まで上り詰めた台湾のエースだが、その衰退はPC市場のそれとも重なり、タブレット登場の余波の大きさを感じさせる。

3週間足らずでまたトップ交代

 Acerは11月5日、第3四半期(7-9月)の業績発表に合わせてトップ交代を発表した。現在会長兼CEOを務めるJ. T. Wang(王振堂)氏が退任し、社長のJim Wong(翁建仁)氏が2014年1月1日付でCEO職を引き継ぐというものだ。第3四半期業績では、売上高は前年同期から11.8%減の31億1000万ドル、8661万ドルを営業損失として計上するという過去最悪レベルの内容。Wang氏の退任は実質上、引責辞任と受け止められた。

 だが、それから3週間もしない11月21日、Acerは現在会長兼CEOのWang氏と次期CEOのWong氏の両氏が退任すると発表した。代わって創業者のShih氏が会長職に復帰、暫定社長として再建にあたる。Wang氏とWong氏はアドバイザーとしてとどまり、スムーズな移行を支援するという。

 1976年に「Multitech」という名称で後のAcerとなるマイクロコンピューター企業を創業したShih氏は、2004年に引退していた。現在は取締役会の一員としてAcerにかかわっており、同社株の2.64%を保有する。これは個人株主としては2番目という。今回、Shih氏はAcerの経営安定のために、無給で会長職を引き受ける。共同創業者のGeorge Huang氏も加わるという。

(岡田陽子=Infostand)