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Acerに何が起こったのか 創業者自らが再建へ (創業者復帰への評価)

創業者復帰への評価

 Shih氏のカムバックでAcerの業績は好転するのか? 楽観論は少ない。Liao氏は「Shih氏の復帰は出血を止める効果はあるかもしれないが、タブレットとスマートフォンへの拡大は厳しい道のりになる」と述べる。The Economic Timesは「(Shih氏の復帰は)従業員のモラルを安定させることぐらいしかできない」との厳しい見解も紹介している。社長の後任探しも難航しそうだという。Financial Timesは身売りの可能性も指摘しながら、「アナリストや技術幹部の多くが、Acerに残された選択肢がどれぐらいあるか疑問だと述べている」と述べている。

 一方、AcerをBlackBerryと対比したBernsteinのアナリストはFinancial Timesに「望みはゼロではない」と言う。技術革新に追いつけずコンシューマーから見捨てられたBlackBerryとは異なり、Acerはコンシューマーがタブレットなどの新しい端末に寄せる期待をちゃんと認識しているという。「単にリソースと能力がなく、執行力が不足しているだけだ」と、このアナリストは述べている。

 BloombergはShih氏の復帰をAppleのSteve Jobs氏の復帰に似ていると述べるが、Jobs氏とその後のAppleのようにAcerが回復に戻すかどうかはこれからの戦略と執行力にかかっている。

 もちろん、Acerだけが変化に直面しているわけではない。モバイルを強化するLenovoはBlackBerry買収に乗り出したものの失敗。今後の戦略に注目が集まっている。Dellは10月に創業者のMichael Dell氏による非公開化が完了した。今後ソリューションベンダーに向けて転身を図っているところだ。

 Appleが2010年に落としたiPadという“爆弾”は市場を確実に変えている。

岡田陽子=Infostand