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“廉価版”ではない「iPhone 5c」 最大市場中国の戦略は (ドコモに続いてChina Mobileを落とす?)

ドコモに続いてChina Mobileを落とす?

 中国と同様に注目されたのが日本市場だ。日本はAppleが売上げとシェアを好調に伸ばしてきた市場で、AppleはiPhone 5s/5cでついに最大手のNTTドコモと手を組んだ。

 このキャリア拡大戦略は、中国市場でも切り札となりそうだ。現在iPhoneを取り扱っているのはChina UnicomとChina Telecomの2社。中国ではそれぞれ2位と3位のキャリアで、両社のシェアを合わせると4割弱となる。

 ドコモとの提携とともに、iPhone 5sと5cの発表にあわせて期待されていたのが、7億4500万人の加入者を誇る最大手China Unicomとの提携だ。11日の北京でのイベントでは、China Unicomの取り扱いの発表はなかったが、AppleがChina Mobileのネットワークを利用する免許を中国工業情報省より付与されたことが報じられた。これには、3Gと4Gの両方が含まれる。

 Forrester Researchのアナリスト、Bryan Wang氏は、Appleの中国戦略はChina Mobileとの契約が固まり、同社のLTE網で利用できる端末が登場する2013年秋以降に着目すべき、とBusinessweekにコメントしている。

 こうなれば、ソフトバンクモバイル、auと固めたのちに最大手のドコモを落とした日本市場での流れと同じになる。New York TimesはiPhone 5c発表後、安くはない価格設定から、Appleの中国戦略は「特定の端末に依存するのではなく、China Mobileとの提携にある」と述べている。だが、同じ記事で、あるアナリストは、AppleとChina Mobileの力関係は日に日にChina Mobile優勢になっており、Appleはかなりの譲歩を求められるだろう、との予想を述べている。

 価格を下げたり、ブランド価値を落とすことなく、高収益を維持する――。Appleのシナリオ通りになるのか、注目される。

岡田陽子=Infostand