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“廉価版”ではない「iPhone 5c」 最大市場中国の戦略は

 AppleがiPhoneの新機種「iPhone 5s」と「iPhone 5c」を発表した。今回は慣例を破っての2機種を同時発表だ。話題の中心は、中国での同時発売、そして日本最大手NTTドコモの取り扱い開始などアジア市場での展開だ。だが世界最大市場となった中国でのAppleの戦略には賛否両論あり、iPhone 5cの価格への批判も出ている。

2種類の「iPhone」同時発表

 Appleが9月10日に米国本社で発表したのはフラッグシップスマートフォン「iPhone 5s」、それに「iPhone 5c」だ。前者は64ビットの「A7」プロセッサを搭載した強化版で、後者は現行の「iPhone 5」と同スペックながら外観をカラフルに衣替えしている。

 上位機種のiPhone 5sは、指紋認証の「Touch ID」といった新機能を備えるが、画面はiPhone 5と同じ4インチ。グラフィック処理が最大2倍高速になるなど、どちらかというと内面がパワーアップした。本体のカラーバリエーションは、シルバー、スペースグレイ、ゴールドの3色。米国での価格は16GBモデルが2年契約で199ドルからとなっている。

 iPhone 5cは5sより安価で、米国での価格は99ドルから(16GBモデル、2年契約の場合)。特徴はカラフルなポリカーボネート(プラスチック)ボディで、白、ピンク、黄色、青、緑の5色展開。6色の専用ケースでさらにバリエーションが増える。

 両端末ともに、Appleが6月に開催したイベント「WWDC 2013」で発表していた最新のモバイルOS「iOS 7」を搭載する。iOS 7はアイコンデザインを新しくし、カメラのフィルター機能、マルチタスクの強化など200以上の新機能を盛り込んだ。

 iPhoneはSamsung Galaxyと人気を二分しているが、新iPhoneの発表に対する市場の反応は冷ややかだった。発表当日、Appleの株価は2%下げた。iPhone 5s/5cは事前情報が出ており、Appleが発表した2機種は折り込み済みだったためと考えられる。

(岡田陽子=Infostand)