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テック企業の中で異彩を放つPalantir 一人勝ちの理由とは
2025年5月7日 11:23
先行き経済の不透明さからテクノロジー株も低迷する中、評価額をぐんぐん上げている企業があるーー。AI企業のひとつであるPalantir Technologiesだ。同社がフォーカスしているのは軍や安全保障の分野だ。そして同社は、“PayPalマフィア”を代表するPeter Thiel氏が共同創業した会社でもある。Palantirの成長を支えるのは、その人脈とTrump政権の方向性だ。
株価はTrump政権で54%上昇
Palantirはビッグデータ分析を得意とするソフトウェアプラットフォームのベンダーだ。創業は2003年で、 Thiel氏らがPayPalをeBayに15億ドルで売却した翌年にあたる。PayPalの出身者で大きな影響力を持つ起業家たちはPayPalマフィアと呼ばれている。
PalantirでCEOを務めるAlex Karp氏は中心的な共同創業者で、Thiel氏のスタンフォード大学ロースクール時代からの友人だ。また共同創業者の一人で、技術面を支えたNathan Gettings氏は元PayPalのエンジニア。Thiel氏は会長を務めており、主要メンバーは同氏と関係の深い人物で固められている。
Palantirの好調ぶりは群を抜いている。Trump政権の関税・貿易政策で市場は混乱しており、「S&P 500」は新政権スタートから8%下落した。しかし、そんな中でPalantirの株価はなんと54%上昇した。Forbesによると、S&P 500の中で最大のリターンを誇るという。
CNBCはPalantirの強みを、AIを活用したデータ分析とソフトウェア技術と解説する。
NVIDIAなどAI関連企業の株価は軒並み好調だったが、Palantirだけ飛び抜けて絶好調となっている背景には、Trump政権が強化する国防政策がある。CNBCは、「AI対応ツールで頭角を現し、軍を含む主要な米政府機関との防衛およびソフトウェア契約で評価を得ている」と紹介している。第4四半期(2024年10~12月)の政府関連売り上げは3億4300万ドルで前年同期比45%増という。
こうしたことから、「(Palantirは)明確な勝者」(Bank of Americaのアナリスト、Mariana Perez Mora氏の顧客向けノート)、あるいは「(国防総省と連邦政府におけるAIの)支出構成シフトの正しい側にいる」(UBSのアナリスト、Karl Keirstead)との評価を受けているとCNBCは伝えている。
ただ、さすがに過熱気味だったようで、5日には株価が一時8%下落した。「株価が予想される利益の200倍を超える水準で取引されている」(Bloomberg)という状態だったので、調整が入ったようだ。そんな中でも同社は「予想を上回る成長」を強調しており、さらに売り上げ予測を引き上げた。