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テック企業の中で異彩を放つPalantir 一人勝ちの理由とは
2025年5月7日 11:23
米国版アイアンドーム構想、SpaceXらと提案
創業者・会長がThiel氏であることを考えると、PalantirがTrump政権で優位にあるとしてもおかしくない。
Thiel氏は2016年の大統領選でTrump氏に最大規模の寄付をしたことで知られており、今回の第2次Trump政権ではPayPalマフィアが幅をきかせている。
最も成功したPayPalマフィアであるElon Musk氏は、政府効率化省(DOGE)を主導している。またAI・暗号資産責任者のDavid Sacks氏もPayPalマフィアの一人だ。副大統領のJD Vance氏はイエール大ロースクール在学中にThiel氏の講義を聴き、その後Thiel氏のもとで働いた経験がある。同じくThiel氏のもとで働いたJim O'Neill氏は保健福祉省の副長官に任命された。
Palantirと政権とのコネクションは十分だ。投資銀行William BlairのアナリストLouie DiPalma氏は、「Palantirのビジネスモデルは、俊敏性を高め、市場投入を迅速に行うという点で、Trump政権が最優先とする事項と合致している」とCNBCに語っている。また、「一部の政権幹部は、コンサルティング会社との契約を、Palantirのような商用ソフトウェア企業に資金シフトすることまで提唱している」という。
具体的には、国防総省が進めている次世代ミサイル防衛システム「Golden Dome」プロジェクトで、PalantirはMusk氏のSpaceX、防衛ドローン製造のAndurilとともに政府に提案していると報じられている。このプロジェクトは、地球を周回するミサイルを感知し、その動きを追跡できる1000機以上の衛星の配備も含まれているという。
Golden Domeは、イスラエルの有名なミサイル防衛システム「Iron Dome」の米国版とも言われ、実現に向けて作業を進めるよう指示した大統領令が1月末に下された。国防総省は3月下旬までに実施計画を提出する予定だ。
このプロジェクトは、シリコンバレー系スタートアップが伝統的な軍需大手の牙城に切り込む機会となる。Palantirらのグループが受注を獲得すれば、「Palantirの成長を支えてきた防衛分野において、シリコンバレー最大の勝利の一つとなる」とThe Streetは解説している。