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テック企業の中で異彩を放つPalantir 一人勝ちの理由とは

移民追跡システムで批判にも直面

 Palantirと政府との関係は防衛分野だけにとどまらず、「移民監視」というセンシティブな領域にも広がっている。

 Palantirは4月、米国移民・税関執行局(ICE)から総額3000万ドルの契約を獲得したとWiredなどが報じている。受注したのは、不法滞在者、期限切れビザ保持者の情報を追跡するシステムで、通称「ImmigrationOS」と呼ばれるものだ。「身元確認から強制退去までの移民のライフサイクル全体を合理化する」(Wired)というシステムで、今年9月にもプロトタイプが完成する予定だ。

 “不法移民”対策は、Trump大統領の最も重要な公約だ。既に強引な送還を行っており、人権侵害との批判も多い。ImmigrationOSでは、さらに大掛かりな移民排除が懸念されるとして人権団体や専門家からは厳しい批判が起こっている。

 AmnestyでAmnestyテックプログラムのディレクターを務めるLikhita Banerji氏はスペインの日刊紙El Paisに、「PalantirとICEの結びつきが深まることは、米国で安全を求める移民や人権にとって憂慮すべきこと」とコメントしている。またスペイン・バレンシア大学 プライバシーとデジタルトランスフォーメーション・ディレクター、Ricard Martínez氏は「異常」「野蛮」「非倫理的」「人権侵害」と強く批判している。

 Palantirは、シリコンバレーのスタートアップから生まれた新しいスターとして脚光を浴びているが、同時にテクノロジー企業の倫理でのあり方でも注目されている。