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関税ショックが直撃 AIインフラ投資に暗雲

不況になると、テクノロジー導入が加速する?

 このような混乱の中で、企業はどのような判断を下すのだろう。

 Wall Street Journalは、「建設コストが上がれば、AIの利用価格も引き上げざるを得ない。“すべての支出が精査される時代”になる」(AiseraのMuddu Sudhakar CEO)とのコメントを紹介する。

 そして、Microsoftだけでなく他のプラットフォーマーにも減速の動きが出てくると予想する。例えばアナリストによると、Amazon Web Services(AWS)は現時点で投資計画の見直しを公表していないが、次回の決算発表時に修正されたガイダンスを提示する可能性が高いという。

 一方、関税ショックによる景気後退がAI導入を加速させるという予想もある。

 Fortuneは、経済学の研究を挙げながら、過去には不況がむしろテクノロジー導入を加速させた事例を紹介している。1930年代の大恐慌、2008年の金融危機、COVID-19パンデミックといった過去の局面で、企業はコスト削減や人手不足に対応するため積極的に自動化を導入した。その結果、製造業や農業では雇用を戻すことなく生産性を引き上げたというのだ。

 そして、「関税不況が起これば、ITやAIへの投資は、むしろ加速する可能性もある」「資金調達環境が厳しくなる中、効率化のカギとしてAIが再評価されるだろう」というのがFortuneの予想だ。

 今回の関税政策は、AIインフラの中心であるクラウドとデータセンターに広範なコスト上昇をもたらすが、長期的には企業の合理化・自動化を後押しする可能性がある。

 だが、短期的には不確実性が高まり、当面は投資凍結や建設中断といった影響は避けられないだろう。