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まだエージェントとは呼べない? 「AIエージェント元年」の実際

 「2025年はAIエージェントの年だ」と言われる。プロバイダーは次々に「エージェント」あるいは「エージェンティック」なサービスを打ち出し、利用する企業の期待も大きい。だが実際は、定義の混乱や導入現場での不満があるという。AIエージェントとはいったい何なのか、きちんと考えるべき時が来ているようだ。

(行宮翔太=Infostand)

「エージェント」という用語を使いすぎ

 「エージェントという言葉が嫌いになった」。Googleのプロダクト担当シニアディレクターで、元GitHub製品担当バイスプレジデントのRyan Salva氏は、TechCrunchのインタビューにこう語った。 「この業界は『エージェント』という用語を使いすぎて、ほとんど意味をなしていない」「この言葉にはいらいらさせられる」

 TechCrunchは、「AIエージェントとは正確には何なのかについて、誰もが同意できるような定義は存在しない」と指摘する。「エージェントを構築するほぼ全ての企業が、この技術に異なるアプローチをとっている」といい、同じ企業内でさえ、何がエージェントなのか見解が割れることもあるという。

 OpenAIは3月11日付のブログで、エージェントを「ユーザーに代わってタスクを独自に遂行できる自動化システム」と定義している。しかし、同じ週の開発者向けドキュメントでは、エージェントを「指示とツールを備えたLLM」と説明していた。これについてAPI製品マーケティング担当のLeher Pathak氏が『アシスタント』と『エージェント』という言葉は入れ替え可能と理解している」とXに投稿し、ますます話が混乱した。

 一方、Microsoftは両者を以下のように区別している。エージェントは「単にユーザーを支援するだけでなく、ユーザーと並行して、あるいはユーザーに代わって作業を行うことができる」「パーソナルアシスタントと異なるのは、特定の専門知識を持たせるようにカスタマイズできる点である」(Microsoftの解説ブログ)