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まだエージェントとは呼べない? 「AIエージェント元年」の実際
2025年4月7日 11:40
導入企業の不満と、人間による監視の必要
スタートアップ動向分析のCB Insightsが3月に実施した調査(40社超の導入企業にヒアリング)によると、AIエージェントを実際に利用したユーザーは、それらが期待に応えられるか、について懐疑的になっているという。
「約束されたことが皆、言われたほどうまく機能しなかった」「約80%の精度でシンプルな作業はこなせたが、複雑な処理では50%程度に落ちた」「望む統合がすべてそろってない製品を契約するのは賭けだった」など。導入企業からは、不満や不安の声が出てきた。
CB Insightsはこの調査で、現在のAIエージェントには3つの問題があるとまとめている。「信頼性(Reliability)」「統合の困難さ(Integration)」「差別化の欠如(Lack of differentiation)」だ。
このうち、「統合の困難さ」は他のIT製品でもしばしば出る課題だ。「差別化の欠如」は、プロバイダー同士が猛烈に競っていれば必然的に起こる。これらに対して「信頼性」はAIエージェントの能力そのものへの疑問を投げかけるもので、より根本的な問題だ。
現状のAIエージェント製品は、その結果に信頼を置けない部分が多く、ユーザー企業は「人間による監視」と「より広範なモデルトレーニング」で対処しているという。複雑な業務になるほど人間の監視が欠かせない――。これでは本当のエージェントとは言えない。
AIエージェントは、いま「定義の混乱」と「性能への不信」が交差する点にある。AIエージェントという言葉が示す未来はまだ先のようだ。