Infostand海外ITトピックス

Googleが320億ドルでWiz買収を発表 政権交代も影響か

 Google(Alphabet傘下)が、クラウドセキュリティベンチャーのWizを買収することで合意したと発表した。買収額は320億ドルという超大型で、Googleにとっても過去最高となる。Googleは昨年、Wizに230億ドルで買収を持ちかけたが、破談になったと伝えられている。それが8カ月後に実現した形だ。GoogleがそれほどにWizを欲していた、と同時に米政権の交代が背中を押したという事情もあるようだ。

90億ドルを上積み、いったん消えた交渉が復活

 Wiz買収は3月18日に発表された。Wizはイスラエルで2020年に創業した、「CNAPP」(Cloud-Native Application Protection Platform)の代表的な企業だ。この分野で急成長を遂げ、昨年、ユニコーン入りを果たしている。そのWizの買収交渉をGoogleが進めている、と2024年7月、Wall Street Journalが報じた。

 しかし、その1週間後、複数のメディアが交渉の決裂を一斉に伝えた。WizのCEO、Assaf Rappaport氏は、従業員に送った電子メールで「私たちはオファーを光栄に思うが、会社を成長させる道を選んだ」と述べ、IPOを目指す考えを明らかにした。

 こうして消滅したかと思われた買収計画が、今回復活した。買収額は前回から90億ドル増の320億ドルにまで積み上がった。規制当局の承認を経て、2026年の完了を見込んでいる。

 ここで特筆すべきは、買収額を引き上げただけでなく、Googleが契約破棄時に支払う違約金を32億ドル以上に設定した点だ。Reutersによると、「M&A史上で最も高額な違約金の一つ」という。

 違約金は、買収が当局の承認を得られなかった場合に支払われる。このため、規制当局の承認プロセスに対するリスクを最小化できる。

 Googleは、Wiz獲得をあきらめていなかったばかりか、異例の厳しい条件を受け入れたことになる。