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Googleが320億ドルでWiz買収を発表 政権交代も影響か

マルチクラウドを追い風にしたいGoogle

 Googleがそれほどまでに手に入れたいものは何か?

 Wizはマルチクラウドのため、Googleのほか、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azureなどに対応している。CNAPPはさまざまなクラウドの環境を越えてワークロードを保護できる。Googleは買収後も、Wizのマルチクラウド戦略を維持するとしている。

 TechCrunchは、Googleがマルチクラウド戦略を進めることで、「顧客の維持」「規制の承認」といったメリットがあると分析する。

 前者では、マルチクラウドの維持でWizの顧客リストを手中に収められること。WizはFortune 100の半数以上、政府機関、スタートアップと多数の顧客を抱えている。

 後者では、「クラウドもサイバーセキュリティも、現在Googleが支配的な分野ではないため、この取引ならば独占禁止法上のリスクは少ないだろう」(TechCrunch)ということだ。

 実際、Google CloudのCEO、Thomas Kurian氏は、投資家向けの電話会議でこう述べている。「マルチクラウドへのコミットは、Google Cloudで新しいITプロジェクトを行う組織が既存のIT投資と連携したり、将来異なるベンダーの製品を選択できることを意味する。企業は単一ベンダーにロックインされることを望んでいない」

 一方、Wiz側としては、買収額のほか、IPO市場の状況が不安定な中で確実にイグジットするにはGoogle傘下が得策と判断したとみられている。そのメリットについて、CEOのRappaport氏はブログで「Google Cloudの一部になることは、ロケットを背中にくくりつけるようなものだ」と述べている。