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勝者はOracle、Microsoftは後退? 総額5000億ドルの「Stargate」プロジェクト

 再任を果たしたDonald Trump大統領は、就任初日から矢継ぎ早に大統領令を打ち出し、米国を大転換させようとしている。テクノロジー分野では、巨大AIインフラ投資プロジェクト「Stargate」を発表した。今後4年間で5000億ドルを投資して最新・大規模なデータセンターを建設し、AI分野での米国の主導権を守ろうというものだ。背後には、ビッグテックのAI戦略も見えてくる。

OpenAI、ソフトバンク、Oracleが主導

 「史上最大のAIインフラプロジェクトが、ここアメリカで始まることを発表する。ご存じのようにし烈な競争があるAIの分野でだ」。就任2日目1月21日の大統領は、こう述べて、OpenAIのSam Altman CEO、OracleのLarry Ellison創業者兼CTO、ソフトバンクの孫正義会長を紹介した。

 Stargate Projectは「AGI(汎用人工知能)を人類の利益のために構築し発展させていく」(プレスリリース)ことを目指す大型プロジェクトで、OpenAI、ソフトバンク、Oracle、アラブ首長国連邦のAI投資会社MGXの4社が協力。運営をOpenAI、財務管理をソフトバンクが担当し、孫氏が会長を務める。

 初期の主要テクノロジーパートナーとして、Arm、Microsoft、NVIDIAが名を連ねる。チップベンダー、AI、資金と役者がそろった格好だ。

 初期投資額は1000億ドルで4年間で総額5000億ドルにする計画だ。5000億ドルは約78兆円で、日本の一般会計予算(2024年で112兆円)の約7割というとてつもない金額となる。

 発表の場でEllison氏は、最初のデータセンターはテキサス州アビリーンに建設中で、まず50万平方フィート(約4.7ヘクタール)の建物を10棟建て、最終的には20棟まで拡大する予定、と説明した。

 Business Insiderによると、「Project Ludicrous」という名前で2024年6月に着工しており、2棟が今秋までに完成する予定。事業費は推定計約11億ドル。もともとはビットコインマイニングとして計画されたが、廃棄天然ガスを活用してデータセンター向け電力を供給するCrusoe Energy SystemsによってAIインフラに転換したという。Oracleはこのサーバーをレンタルする。

 Trump大統領は「才能と資金が結集した1大グループ」「迅速に10万以上のアメリカの雇用を創出する」とプロジェクトを褒めたてた。