Infostand海外ITトピックス
勝者はOracle、Microsoftは後退? 総額5000億ドルの「Stargate」プロジェクト
2025年1月27日 11:11
見事に立ち回ったOracle
The Next Platformの読み通りであれば、Oracleの立ち回りは実に見事だったと言える。ライバルに遅れながら「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」でIaaS市場に参入したOracleは、Amazon Web Services、Microsoft、Google Cloudと提携し、相互運用によって足場を固めてきた。
今回のStargateへの参加を、Deutsche Bankのアナリスト、Brad Zelnick氏は「Oracleの勝利」と言う。「AIの未来におけるOCIの重要性を確固たるものにした」「OracleがAIインフラの構築において主要なプレーヤーになる体制が整っていることを裏付けた」との見解だ。Wall Street Journalが引用している。
さらにOracleのデータセンターへのユニークな取り組みは、資金力で勝る競合ともうまく戦えるものだという。「Oracleはほとんど不動産を購入せず賃借しながら、省スペースで機器のパフォーマンスを高めている」(Bernsteinのアナリスト、Mark Moerdler氏)といい、顧客の需要に合わせて拡張が可能になる。
一方で、この一大プロジェクトには、最もTrump氏と近いはずのElon Musk氏が疑問を投げかけて波紋を広げている。Musk氏は、「実際のところ、彼らには資金がない」「ソフトバンクが確保しているのは100億ドルよりもはるかに少ない。信頼できる筋の話だ」とXに投稿。これに対し、Altman氏は「それは間違いだ。最初の施設がすでに建設中だから見に来てほしい」と返信した。
The Informationは、OpenAIとソフトバンクがそれぞれ190億ドルを出資する予定だと伝えているが、依然として資金の全体構成は明らかになっていない。
この騒ぎの中の1月23日、Trump大統領はホワイトハウスで、Musk氏の批判は気にしないとした上で、「Elonは取引にかかわっている中の1人を嫌っているだけだ」と記者団に答えた。そして「彼らは資金を投入している。彼らは非常に裕福な人々だ」とStargateを称賛した。
Stargateの前にある課題は資金だけではない。これだけの規模のデータセンターを稼働させるエネルギーをどう調達するかも極めて重要だ。プロジェクトが発表されるや、原子力発電所関連株が急騰した。そして、もちろん中国も注視している。
米国に5000億ドルのAIインフラを打ち建てる大プロジェクトは、さらなる波紋を呼びそうだ。