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Xからのユーザー大量流出 ソーシャルメディアに地殻変動
2024年11月25日 11:23
「X」(旧Twitter)から離脱するユーザーが続出している。「exodus(旧約聖書の出エジプト記)」に引っかけて「X-odus」とも呼ばれるこの現象は、米大統領選挙後、Elon Musk氏が所有するXを見限る人で起こっている。この人たちは代替サービスに流れており、移行支援サービスも現れた。移行が難しいと言われたSNSメディアに、地殻変動が起きているようだ。
(岡田 陽子=Infostand)
11.5万人が1日でXアカウント削除
Trump氏の大統領再登板が確実となった11月6日、米国ではXに1日で4650万人がアクセスした。この数字は直近数カ月の平均を38%上回り、年間の最高を記録した。同時に、11万5000人がユーザーアカウントを削除した。これは、Musk氏が2022年10月末にTwitterを買収して以来、最大の数だという。
一方、新興SNSの「Bluesky」には120万のユーザーがアクセスした。Twitter買収後に、代替サービスとして名乗りをあげたMetaの「Threads」の95万人を上回る数だ。Reutersがネット分析プラットフォームのSimilarWebのデータとして伝えている。
「作家、政治家、アーティスト、それにスウィフティーズ(Taylor Swiftのファン)など、多くの人がいる」とBlueskyのソフトウェアエンジニアで広報担当のEmily Liu氏はBusiness Insiderに説明している。
また、The Guardianなどのメディア、CCDH(Center for Countering Digital Hate、デジタルヘイト対策センター)といった組織も、XからBlueskyに移動した。さながら、4年前のTrump氏初当選時にカナダへの移住が急増したのと同じ現象だ、とWiredは評する。
“Trump嫌い”が大挙して移行しているのだが、科学者コミュニティでも“脱X”が起きている。科学学術誌のScienceは、Xの情報の信頼性やコミュニケーションの質を懸念して他のプラットフォームに移る動きがあると報告している。
米エモリー大学のウイルス科学者Boghuma Titanji氏は「かつて、Twitterを15分見るだけで感染症分野でトレンドになっている論文が分かった(が、現在はそうではなくなった)」と指摘する。また、テキサス工科大学のKatharine Hayhoe氏も「Musk氏による買収から2カ月もしないうちに、気候に関して事実に基づく正確な情報を投稿する人々に対して、明らかに不利な扱いがなされるようになった」と述べている。
実際、大統領選期間中にXのアルゴリズムが調整され、Musk氏や保守派の投稿が強調された可能性を指摘する研究もある。The Vergeが紹介している。
クイーンズランド工科大学の研究によると、Musk氏がTrump氏支持を表明した7月以降、同氏の投稿の表示回数は138%増加。リツイートは238%増加。「Musk氏の数は、プラットフォーム全体で観察されたエンゲージメントの傾向を上回っていた」と結論づけている。