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プライベートクラウド打ち出すVMware by Broadcom ユーザーからは依然として厳しい声も

 VMwareの年次イベント「VMware Explore」が開かれた。2023年末のBroadcomによる買収完了後、初めての開催となる。新生VMware by Broadcomをめぐっては、ライセンスなどビジネス変更や、その意図の不明瞭さから一部の顧客やパートナーの反発が報じられることが多かった。そんな中で開いたイベントで打ち出した方向性が、プライベートクラウドだ。

「パブリッククラウドによってPTSD状態に」

 VMware by Broadcomとして初の年次イベントとなったVMware Exploreは例年に増して注目された。イベントを取材したメディアは共通して、VMware by Broadcomの新しい方向性を「プライベートクラウド」と報じている。

 BroadcomのCEO、Hock Tan氏は基調講演で、「企業の将来はプライベートクラウドにある。オンプレで制御を維持することが大切」と断言。そればかりでなく、「パブリッククラウドを導入するというCEOの決断がIT部門を『PTSD(心的外傷後ストレス障害)』に陥れた」と述べ、パブリッククラウドを批判した。

 Tan氏によると、約10年前に「パブリッククラウドがもたらすと言われる約束にほれ込んだ」CEOがIT担当にクラウド採用を促したものの、ITにとってはコストと複雑さを増すものに過ぎなかったという。これがPTSDを生んだというのだ。The Registerなどが伝えている。

 もちろんVMwareがそのPTSDを解消する“救世主”というわけだ。そしてイベントの目玉となった「VMware Cloud Foundation(VCF)」の最新版「VCF 9」を挙げる。

 VCFはサーバー、ストレージ、ネットワークなどインフラの仮想化のためのSDDC(Software-Defined Data Center)ソリューションだ。最新版では、プライベートクラウド展開のための機能として運用と自動化を強化したほか、NVMeストレージの高度なメモリ階層化、vSAN間のネイティブなデータ保護などの機能が加わった。

 将来的に、全コンポーネントで一貫したAPIとSDKを提供し、管理コンソールを統一することでプライベートクラウドの運用がさらに容易になるとしている。

 イベントではこのほか、生成AIのプライベートAI基盤「VMware Private AI Foundation」の強化、アプリケーション開発側の「Tanzu Platform 10」なども発表されている。