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プライベートクラウド打ち出すVMware by Broadcom ユーザーからは依然として厳しい声も

「イノベーションを起こす技術企業か銀行家の集まりか」

 VMware by Broadcomとしての方向性が明確になりつつあるところだが、足元を見るとライセンスなどのビジネスの変更に戸惑いと感じている顧客は多い。実際に、VMwareのほとんどの既存顧客にとって、新しいライセンス体系では200~500%割高になると、Gartnerをはじめとした多くのアナリストが予想している。

 これを受け、Nutanixなどの競合、そしてIBM、Hewlett Packard Enterpriseなどのパートナーも、VMwareの顧客を救済するようなソリューションを活発化させている。

 イベント参加者はどのように受け止めているのだろう。2007年以来、毎年VMwareの年次イベントに参加しているというThe Registerの編集者Simon Sharwood氏は、イベントを振り返った記事で、「今年は非常に雰囲気が違った」と記している。例えば、例年2時間だった基調講演は1時間に短縮されたという。

 会場でのユーザー企業との話も明かしている。VMwareの上級幹部とのミーティングを終えた、あるFortune 200企業の担当者は、「イノベーションを起こすソフトウェア企業なのか、銀行家の集まりか分からなくなったと言っていた」と伝えている。

 結局、この企業はイベントを途中で去り、Nutanixのテストに向けて動いているという。別の企業は、VMwareの新しいバンドル以外の製品は価格が3倍になり、ライフサイクルについての助言も一貫性を欠く、とこぼしているという。不満はVCF 9のリリース日が明示されなかったことにも及んでいる。

 「良い話を省略しているのではない。聞こえてくる声は不満ばかりだった」(Sharwood氏)という。そして、「BroadcomはVMwareに現実路線をもたらした。それは良いことだ」としながら、VMwareがどのように着地するのかが課題としている。

 VMwareの方向性を精査しようにも、顧客やパートナーが感じている不信感がそれを邪魔しているとも見える。VMwareおよびBroadcomは、どのように向き合うのだろうか――。