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成長するクラウドインフラ市場でOracleが伸長 “レガシーの逆襲”

AIクラウドを拡充、NVIDIAとの提携を拡大

 Synergyのレポートと同じ日、OracleはOracle Cloud Infrastructure(OCI)に新しいGPUオプションを加えることを発表した。

 NVIDIAとの提携拡大に基づくもので、ハイエンドGPU「NVIDIA L40S GPU」をベースとするサービスの追加だ。L40Sは「NVIDIA A100」の後継にあたり、推論や小規模モデルのトレーニングなどに対応する。また、NVIDIAの「H100 Tensor Core GPU」向けの仮想マシンオプションも用意する。

 OCIで利用できるNVIDIA GPUは現在、小規模のAIインフラ向け(A10仮想マシンとA10ベアメタル)と大規模向け(A100ベアメタル)があり、今回の追加で、それらの間を埋めた格好となる。

 あわせて「OCI Supercluster」を更新し、最大6万5000のNVIDIA GPUをサポートすることも発表した。数千億のパラメータを持つ大規模なAIモデルのトレーニングに対応できるとする。

 これについてVenture Beatは、「現在AIクラウド市場はAWS、Microsoft Azure、Google Cloudに独占されているが、今回のOracleの動きは積極的に競争する戦略的なもの」と評価している。

 Oracleは、生成AIでは2023年秋に「OCI Generative AI Service」を発表していた。出資などで密な関係にあるCohereと、MetaのLlamaをフルマネージドのPaaSとして提供するものだ。また、「OCI Generative AI Agents Service」もベータとして発表。その1つに企業のニーズが多いRAG(Retrieval-Augmented Generation)エージェントがある。

 当時、これを報じたInfoWorldは、OracleのAIでの戦略を価格性能比に優れた「合理化アプローチ」としながらも、「生成AIの全体的な提供内容を比較した場合、競合にははるかに及ばない」(Constellation ResearchのアナリストAndy Thurai氏)との見解を紹介していた。具体的には、利用できるLLMが限定的、といった指摘だ。