Infostand海外ITトピックス

開発者のAIツール利用が拡大中 AIはその仕事を脅かすのか

 生成AIの業務への活用が最も進んでいるのは「プログラマー/開発者」の世界だろう。AI開発ツールは開発者自身の手で作られたもので、仕事のための理想のツールを目指している。7月下旬に発表されたStack Overflowの2024年開発者アンケート調査から、AIが開発現場をどう変えているのかをみてみたい。

62%が既にAIツールを使用、使用予定を合わせて76%に

 Stack Overflowの開発者アンケート「2024 Developer Survey」によると、開発者の61.8%が現在AIツールを使用しており、1年前の前回調査(43.8%)から20ポイント近く増えていた。年内に使用する予定を合わせると75.6%に達し、前年の69.2%から、大きく浸透している。

 一方で、「使う予定はない」は前年の29.4%から24.4%に5ポイント減少した。ただ、使い始めた開発者が大きく増えているのに対して減少幅は小さく、「それでも使わない」という層が底堅く存在することを示唆している。

 調査は、5月から6月にかけて実施したもので、185カ国、計6万5437人の回答を集計した。「世界中の開発者コミュニティのニーズを把握する上で重要な情報を提供している」(Stack Overflow)というものだ。

 生成AIツールを使うことの利点の1-3位は、「生産性の向上」が81%(前年32.8%)、「学習のスピードアップ」が62.4%(前年25.2%)、「効率」が58.5%(前年25%)で、いずれも2倍以上に増えている。この1年間で、そのメリットが明確に認識されてきたと言える。

 ただし、Stack Overflowが4月に行った別の調査では、職場でAIツールを使用している開発者の76%が、「自社の生産性の測定方法が不明である」と回答した。本人が生産性の向上を感じていても、それが職場では客観的に評価されないことに不満を感じているようだ。

 利用しているAI検索・開発ツールでは、ChatGPTが82.1%で圧倒的な1位。次いでGitHub Copilotの41.2%、Google Geminiの23.9%と続く。昨年は検索と開発を分けて集計しており、ChatGPTは検索ツールの83.2%、GitHub Copilotは開発ツールの54.8%だった。

 GitHub Copilotの減少が目立つ一方で、無料の代替サービスといえるCodieumが6.1%(前年は1.3%)と伸長しており、コード提案AIサービスの競争も生まれたことが分かる。