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シリコンバレーを分断 ヒートアップする大統領選

 歴史的に見ても異例づくしの米大統領選が、残り3カ月のラストスパートに入る。潤沢な資金と影響力を持つハイテク業界でも誰を支持するかをめぐって異変が生じている。リベラルが多いと言われてきたシリコンバレーで、“共和党推し”が勢力となっているのだ。また、民主党候補がKamala Harris氏にまとまる中で、新たな動きも出てきた。

民主党の地盤カリフォルニア州でTrump支持が急増

 共和党大統領候補のDonald Trump氏は6月のベンチャー投資家ポッドキャスト「All-In」で「Davidの家が気に入った」と語った。DavidとはDavid Sacks氏。PayPalのプロダクトトップを務めた後にYammer(Microsoftが2012年に買収)を立ち上げ、現在は自身が創業したベンチャーキャピタル(VC)、Craft Venturesでパートナーを務める。

 Sacks氏は6月にサンフランシスコの自宅でTrump氏のための資金集めパーティーを開き、これにTrump氏自身が出席したのだ。Reutersによると、パーティーにはChamath Palihapitiya氏(AOL、Facebookなどで幹部を歴任、その後VCのSocial Capitalを立ち上げた)ら、多くの裕福な著名人が集まり、一晩で1200万ドルが集まった。

 テックベンチャーのメッカ、シリコンバレーを含む西海岸は、民主党の地盤とされてきた。2020年の選挙では民主党のBiden氏が、現職Trump大統領を相手に市内の投票の85%を獲得したという。

 2016年にTrump氏が第45代合衆国大統領に決まった時、Y Combinator社長だったSam Altman氏(現OpenAI CEO)は、Twitterに「自分の人生で考えられる限り最悪の事態が起こった」と投稿した。

 しかしここにきて、Maguire氏、Sacks氏、Palihapitiya氏のような共和党支持への“くら替え”組が増えている。新たに設立されたTrump陣営の政治献金窓口である「America PAC」には、Elon Musk氏、VCのAndreessen Horowitz("a16z")を創業したMarc Andreessen氏、Ben Horowitz氏、VCのPalantir Technologiesを創業したJoe Lonsdale氏など、テック業界で知られるVCが名を連ねている。America PACは1カ月で870万ドル以上の資金を集めたという。

 Financial Times(FT)によると、Trump大統領誕生時に「恐怖だ、ホラーだ」とつぶやき、カリフォルニア州独立まで提案したVCのShervin Pishevar氏(Hyperloop Oneの共同創業者、Uberのリードインベスターなど投資家でもある)はフロリダに拠点を移し、現在はTrump氏支持を明確にしている。

 Pishevar氏はくら替えについてこう発言しているという。「私が知っているObama元大統領時代の民主党はもはや存在しない」「シリコンバレーで起きている変化は、共和党が米国再建のための壮大なアイデアを受け入れ、テックとイノベーションを受け入れるようになったという認識の現れだ」