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生成AIでデータセンターの需要急増 インフラ不足と電力問題

電源をどう確保するか

 IT業界も増え続ける電力需要に対応するため、新しい電源を模索している。

 AWS(Amazon Web Services)は3月、ペンシルベニア州のサスケハナ原発に隣接するデータセンター・キャンパスを6億5000万ドルで購入した。最大960メガワットの電力供給を受ける計画だ。

 未来の技術に賭ける動きもある。Microsoftは2023年5月、核融合発電のHelion Energyから電力供給を受ける契約を発表した。このHelionには、OpenAIのCEO、Sam Altman氏も数億ドル規模を出資している。同氏は核融合がデータセンターの電源問題の明確な解決策になる、とCNNのインタビューで語っている。

 ただ、核融合は未完成の技術であり、実用化される時期は2030年から2050年ごろまでと専門家によっても見方が分かれる。喫緊の問題の解決にはならないだろう。なおAltman氏らが期待するHelionは、2028年までに商用核融合発電所を稼働させることを目標としている。

 そして、消費電力の急増は、データセンターからのCO2排出量も大きく増やしている。GoogleのCO2排出量は2023年までの5年間で48%増加した。カーボンオフセットの購入で相殺するのは困難となり、これを取りやめたという。またMicrosoftも2020年以降のCO2排出量が30%増加したことを認めている。Bloombergなどが伝えている。

 環境問題で優等生を目指してきたビッグテックも、AIビジネスの前では政策の見直しを迫られているようだ。