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生成AIでデータセンターの需要急増 インフラ不足と電力問題

“電気食い”のAIデータセンター

 AI向けの処理を行うデータセンターは従来型のデータセンターと比べ、より多くの電力を必要とする。一般的にAIサーバーラックでは、従来のサーバーラックの3倍以上の電力が必要になるといわれる。

 演算処理では、Goldman Sachsのレポートによると、ChatGPTクエリの処理はGoogle検索の10倍の電力を消費する。また、Hugging Faceとカーネギーメロン大学の調査では、画像生成処理は典型的なスマートフォンの半分の電力をあっさり使ってしまうという。

 演算処理にかかる電力消費が増えると、それに合わせて冷却にかかる電力も増える。AIデータセンターは、とんでもない“電気食い”だ。Goldman Sachsは、データセンターの電力需要は2030年までに160%増加すると予測している。

 CBREのレポートでも、データセンター事業者が最も頭を悩ましているのは電力だと指摘している。既に現状も厳しくなっている。

 北米のデータセンター集積地バージニア州北部は、パブリッククラウド事業者、AI企業がデータセンターを構える地域だが、今年、新規で391.1メガワットが新規供給された。それでも電力需給はひっ迫しており、新しい送電線建設による容量増強が進められている。

 アジア太平洋地域でも、2024年第1四半期のデータセンター供給量は2996メガワットと前年同期比22%増を記録した。とりわけシンガポールは世界で最も電力需給がひっ迫しており、利用可能な電力はわずか7.2メガワット、空き率は過去最低の1%まで下がったという。