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欧州の業界団体が規制当局に訴え VMware by Broadcomのライセンス変更問題

 VMware by Broadcomのビジネス戦略変更は、なかなか落ち着くところまで行かないようだ。3月末、ライセンス変更を不満とする欧州のCIO団体が欧州委員会(EC)に調査を求める書簡を送った。こうした不満に対してVMwareは、プライベートクラウドプラットフォームの「VMware Cloud Foundation(VCF)」のアップデートで解決していきたい考えだ。

「公正な競争原則に反する」

「Broadcomの行為は公正な競争の原則に反するものであり、搾取的な悪用の可能性がある」。オランダ、ベルギー、フランス、ドイツの欧州4カ国のCIO団体が公開書簡を発表した。あて先はEC委員長のUrsula von der Leyen氏、副委員長で競争担当のMargrethe Vestager氏、委員で域内市場担当のThierry Breton氏だ。

 3氏はいずれも米国企業には手強い相手で、特にVestager氏は、これまでもGoogle、Appleなどのプラットフォーマーに対して厳しい態度を見せてきたことで知られる。

 4団体が最も問題視しているのは、Broadcomが行っているVMwareのライセンス変更だ。昨年末のBroadcomによる買収完了後、VMwareは永続ライセンスを廃止してサブスクリプションに一本化した。製品では「ESXi」をはじめとする一部製品を終了。残る製品はすべてバンドルされる。

 書簡は、この“突然”の変更に以下のような懸念があると訴えている。すなわち、1)価格の高騰、2)過去の契約不履行、3)ライセンス再販の不可、4)永続ライセンスのセキュリティ条件維持の拒否、5)ライセンスの(再)バンドルによるコスト増、6)VMware再販事業者とパートナーのエコシステムの変更、7)ナレッジの喪失――などだ。

 また、「プライベートクラウドの主要プレーヤーであるVMwareを抑制したことで、パブリッククラウドへのシフトが起こる可能性もある」と警告している。米国企業ばかりのハイパースケーラーに有利となるという懸念が背景にある。

 また3月19日には、欧州のクラウドインフラサービスプロバイダーで構成する業界団体「CISPE」(Cloud Infrastructure Services Providers in Europe)が公式に苦情を表明した。

 その中でCISPEは「収益の75%以上をVMwareのソフトウェア仮想化に依存している企業もある。ライセンスの問題が解消されなければ、エンド顧客に継続的なサービス提供は難しくなる」といった悲痛な声を紹介。公共部門、企業、医療など広く影響を及ぼしかねないと警告。必要な措置を講じるようECに求めている。