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注目のスタートアップのCEO辞任 画像生成AIのStability AIの舞台裏は

 画像生成AIで一躍有名になった英Stability AIのCEOが辞任した。同社は現在、最もホットなベンチャーのひとつで、OpenAIやMidjourneyなどと並んで生成AIブームの一翼を担ってきた。しかし、資金面で窮地に陥っているとも報じられている。そこからは華やかなAIスタートアップの裏側も見えてくる。

ユニコーン企業の突然のトップ辞任

 Stability AIは3月23日、CEOのEmad Mostaque氏が辞任し、取締役も退いたと発表した。当面は、COO(最高執行責任者)のShan Shan Wong氏とCTO(最高技術責任者)のChristian Laforte氏が暫定共同CEOとして会社を運営しながら、新しいCEOを積極的に探すとしている。

 Stability AIは2020年創業。Mostaque氏はバングラデシュ出身・英国育ちの元ヘッジファンド・マネージャーで、同社を共同創業してCEOを務めた。代表製品は、プロンプトから自在に精密な画像を生成する「Stable Diffusion」だ。

 Stable Diffusionは2022年の夏にリリースされるや一躍世界に知られ、同社は米国のベンチャーキャピタルCoatue ManagementとLightspeed Venture Partnersから1億100万ドルの出資を獲得。10月には10億ドルの評価を受けてユニコーン企業となった。デイリーユーザーは1000万を超え、OpenAIの「DALL-E」やMid journeyとともに、画像生成AIブームをけん引した。

 CEO辞任はMostaque氏の意向で、「分散型AIを追求するため」と発表文で説明している。同氏は辞任後のXへの投稿で、「AIでの権力集中は、われわれ全てに良くない」とツイートした。

 Mostaque氏は一週間後に起業家Peter Diamandis氏のYouTubeチャンネルに出演し、“非中央集権的”なAIを全力で推進すると述べ、AIを一部の企業に支配させてはならないと熱っぽく語った。

 だが、話はそれほど美しくはないようだ。辞任発表の3日前、Stability AIでは重要な研究者が何人も去り、資金面でもピンチだとForbesが報じていたのだ。