Infostand海外ITトピックス

オープンソースではなく「オープンモデル」 Googleの新言語モデル「Gemma」

オープンモデルへの懸念

 オープンソースライセンスは、その理念から「利用分野に対する差別」を禁止している。つまり、ライセンスしたソフトウェアについては、どのような使い方でも認めねばならない(MetaのLlaMA-2も「月間アクティブユーザー数7億超のサービスでは利用のリクエストが必要」としたことから、オープンソースではない、と批判された)。

 Gemmaの利用には、先に述べた「利用規約」と「使用禁止ポリシー」を許諾するが、後者で細かく禁止項目を設けている。性的、違法、詐欺的、暴力的、憎悪を助長するコンテンツ、なりすまし、専門知識や能力を偽っての主張、中傷、免許を持たない専門職の業務での利用など。生成AIで悪用が懸念される使い方だ。

 Googleが掲げる「安全で責任ある開発」を保証するためで、これがGemmaをオープンモデルとした理由という。

 ただ、このオープンモデルに対しては、疑問の声も出ている。

 「From Data To Profit」の著者でAIアドバイザーのVin Vashishta氏はLinkedInへの投稿で、こう指摘する。

 「利用規約がいつでも変更できるのであれば、Gemmaで革新的な製品を作るのはリスクが高い。Googleが斬新なアプリケーションに課金したり、直接競合するものを制限する可能性がある」

 そして「人々がGemmaを使って構築するものに対する半管理を維持しながらも、オープンモデルのアプローチによって、Googleはオープンソースモデルよりも効果的に収益化することができる」とビジネス面の効果を推測する。

 収益化は全てのAI開発企業に共通する課題だ。オープンモデルは非常に都合がよい方式でもある。

  Vashishta氏は「他の大企業もGoogleに追随するかもしれないし、オープンソースのLLMコミュニティと透明性一般にとって大きな損失となるだろう」と述べている。