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続く混乱、代替ソリューションも活発化 VMwareは「上手にメッセージを出すべきだった」との声も

「短期的にはよく見えても、長期的には失敗」

 VMwareの変更は、より大きな構図の中でどう捉えれば良いのだろう。

 調査会社のForresterは昨年10月発表の「Predictions 2024(2024年の予測)」で、「VMwareのエンタープライズ顧客の20%がVMwareスタックから脱却を図るだろう」と予想していた。その中で「既に多くのエンタープライズ顧客は、価格上昇、サポートレベルの低下、ソフトウェアバンドルへの強制移行などで疲弊している」とする。そんな環境下で混乱が増幅したと言えそうだ。

 Moor Insights & Strategyの主席アナリスト、Matt Kimball氏は、新しいライセンスポリシーでは多くの製品がバンドルされるが、なくなったわけではないとしながら、Broadcomのコミュニケーションは十分ではなく、「もう少し上手にメッセージを出すべきだった」と述べている。

 南アフリカのテック媒体IT Webは同国のCIOの9人(うち6人はVMwareを自社ITの重要な部分としている)に聴き取りした。その中の1人は、過去にBroadcomに買収されたCA TechnologiesやSymantec’s enterprise software businessでサポートレベルが低下し、乗り換えを余儀なくされた経験を語った。このCIOは、「Broadcomの過去の実績は、VMwareの大きな衰退になるであろうと思わせる」と述べている。

 しかし、全てのCIOがBroadcomの買収に否定的なわけではないという。「買収は、その価格からみても、成功させるための戦略的計画があることを示している」(AvbobのHelen Constantinides CIO)と評価する声もある。

 Canalysのチーフアナリスト、Jay McBain氏は、小規模なパートナーを捨てて上位2000社の顧客に直販をするBroadcomの戦略について、18カ月ではコストを削減しても、製品に愛着を持ちパートナーに優しいVMwareの良さが失われるとChannel E2Eに述べている。「短期的にはよく見えても、長期的にはこの戦略は失敗するだろう」と言う。